トランプ政権、VOAなど米政府系メディアで大量解雇
米国のドナルド・トランプ政権が、米政府が資金を拠出するメディア「ボイス・オブ・アメリカ(Voice of America/VOA)」などで大量解雇に踏み切りました。米国の対外発信を担うメディアで何が起きているのかをまとめます。
今回のポイント
- トランプ政権がVOAと他の米政府系メディアで大規模な人員削減を開始
- 契約スタッフにはメールで3月末での契約終了が一方的に通告されたとされる
- 多くの契約スタッフは非英語サービスを支え、米国籍を持たない人も多い
- 親機関の米国グローバルメディア局(U.S. Agency for Global Media)は2023会計年度に3384人を雇用
- VOAの一部サービスは新番組を制作できず、音楽のみを流す状態になっている
VOAなど米政府系メディアで何が起きているか
報道によると、米国時間の日曜日、トランプ米大統領の政権は、米政府が資金を拠出する放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)や他の米政府系メディアで、事実上の業務停止につながる大規模な解雇手続きを開始しました。
その前日には、VOAを含む関連機関の全職員が一斉に休職扱いとなり、業務を行わないよう指示されました。翌日、契約ベースで働くスタッフにはメールが送られ、雇用契約を3月末で終了する方針が通告されたといいます。
メールでは、契約スタッフに対し「直ちにすべての業務を停止し、いかなる施設やシステムにもアクセスしてはならない」と告げられました。これにより、多くのスタッフが突然仕事と職場へのアクセスを失った形です。
非英語サービスと契約スタッフへの打撃
VOAでは、契約スタッフが全体の大きな割合を占めているとされ、とくに非英語の言語サービスで重要な役割を担ってきました。最新の具体的な数字は示されていませんが、多言語での番組制作や各地域向けサービスを支えてきたことがうかがえます。
さらに、多くの契約スタッフは米国籍を持たず、その仕事に就いていることが米国に滞在するためのビザと密接に結びついているとされています。今回の決定により、収入源を失うだけでなく、米国に滞在し続けること自体が難しくなる人も出る可能性があります。
一方、VOAの正規職員は法的な保護が比較的強いため、直ちに解雇とはなっていませんが、現在は行政休職の状態に置かれ、業務を行わないよう求められていると伝えられています。
USAGMへの大統領令と予算削減
VOAの親機関である「米国グローバルメディア局(U.S. Agency for Global Media/USAGM)」をめぐっては、トランプ大統領が金曜日に署名した大統領令により、大規模な連邦政府の支出削減の一環として見直しの対象となりました。
USAGMは2023会計年度に3384人の職員を抱え、現在の会計年度には9億5000万ドルの予算を要求していたとされています。今回の措置は、こうした予算規模や組織体制を根本から見直す動きの一部とみられます。
番組制作の停止と国際ニュースへの影響
VOA本体では、組織が事実上の「空白期間」に入り、新しい番組制作ができない状態に陥っています。その結果、一部のサービスではニュースや解説ではなく、音楽のみを流す編成に切り替えているとされています。
今回の大幅な削減と凍結はVOAにとどまらず、他の米政府系メディアにも及んでいます。報道によれば、Radio Free Europe、Radio Liberty、Radio Free Asia、Radio Farda、Alhurra など、米国が資金を拠出する放送局も影響を受け、活動が凍結されているとされています。
これらのメディアはニュースや情報を発信してきました。そのため、今回の決定は、国際ニュースの流通や各地域の人々がどのような情報にアクセスできるかという点でも、大きな変化をもたらす可能性があります。
日本の読者にとっての意味
日本から見ると、今回の動きは「政府が資金を出すメディア」と「編集の独立性」の関係をあらためて考えさせる出来事です。国の予算や政治の方針が変わることで、現場の記者や制作スタッフ、そして情報に接する世界中の人々の環境が一気に変わり得ることが示されています。
また、契約スタッフや外国籍のスタッフが多くの役割を担っていることは、日本のメディア業界とも共通する側面があります。柔軟な働き方が広がる一方で、雇用や在留資格が不安定になりやすいという課題も浮き彫りになります。
米政府系メディアの今後の再編がどのような形になるのか、そして世界への情報発信のあり方がどのように変わっていくのか。国際ニュースを追ううえで、今後も注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








