米国移民局がウクライナ避難民に退去メール 誤送信で不安広がる
米国の移民当局が、ウクライナからの避難民として合法的に滞在している人々に対し、在留資格を打ち切り7日以内に出国するよう求めるメールを誤送信し、大きな不安が広がっています。国土安全保障省はのちに誤りを認め、人道プログラムは継続していると説明しました。
誤って送られた退去命令メール
今週、米国の人道パロール制度の下で合法的に滞在している複数のウクライナ人に、在留資格が取り消されたと通知するメールが届きました。メールでは、彼らの身分が撤回され、7日以内に米国を離れなければならないと記されていました。
メールの文面は厳しいもので、「直ちに米国を出国しなければ、連邦政府があなたを見つけ出し、強制退去につながる法執行措置の対象となる」と警告していたとされています。この突然の通告に、多くの避難民が強い恐怖と混乱を覚えました。
DHSは誤送信と説明、人道プログラムは継続
米国国土安全保障省(DHS)の報道担当者は金曜日、このメールは誤って送信されたものであり、ロシアとウクライナの紛争開始後に立ち上げられたウクライナ向けの人道パロール・プログラムは終了していないと説明しました。何人にメールが送られたかは明らかにされていません。
DHSは翌日、対象となった人たちに改めてメールを送り、「今回の通知は誤りであり、当初与えられたパロールの条件は現時点で変更されていない」と伝えました。一度は退去を命じられた人々にとって、ひとまず胸をなでおろす内容ではありましたが、不信感は簡単には消えません。
背景にあるウクライナ避難民受け入れ政策の揺れ
ウクライナ向けの人道パロール・プログラムは、ロシアとの紛争から逃れた人々を一時的に受け入れるための制度として導入され、多くのウクライナ人がこの枠組みを通じて米国に避難してきました。パロールは、難民認定とは別枠の、一時的な合法的滞在を認める仕組みです。
しかしロイター通信によると、先月にはトランプ政権が、紛争を逃れてきた約24万人のウクライナ人に対し、この一時的な合法的地位を取り消す方針を検討していると報じられていました。実際に実行されれば、バイデン前大統領の政権下で示されたウクライナ避難民への歓迎姿勢からの大きな転換となります。
今回の誤送信メールは、こうした政策の変化への不安が高まる中で起きたものであり、当事者の心中には「いつ在留資格が失われるか分からない」という緊張感がいっそう強まったとみられます。
一通のメールがもたらした心理的ショック
匿名を条件に取材に応じたウクライナ人の女性は、このメールを受け取ったとき「息ができず、泣き止むことができなかった」と語っています。彼女は今年8月に在留資格を更新しており、あと2年間は有効だと聞かされていたといいます。
彼女は、自分に思い当たる落ち度はないと話します。交通違反どころか駐車違反の切符すらなく、SNSへの投稿も控えてきたといい、「なぜ自分が米国から追い出されなければならないのか」と頭を抱えたといいます。この証言は、在留資格という「見えない安全網」にどれだけ人々の生活が依存しているのかを物語っています。
デジタル時代の移民行政に突きつけられた課題
今回の出来事は、一通のメールが人生を左右しうる時代における、移民行政とデジタル・コミュニケーションの脆さを浮き彫りにしました。とくに紛争や迫害から逃れてきた人々にとって、在留資格をめぐる情報は、日々の安心感そのものに直結します。
- 手続きのデジタル化は迅速さをもたらす一方で、誤送信が重大な影響を及ぼすリスクも高めます。
- 受け入れ国の当局には、誤りが発生した際に迅速かつ丁寧に訂正し、背景を説明する責任があります。
- 避難民や移民にとって、自らの在留資格の状況を確認できる透明でわかりやすい仕組みが欠かせません。
ウクライナからの避難民をめぐる議論は、米国だけでなく、避難民や移民を受け入れる他の国・地域にとっても共通の課題を映し出しています。今回の誤送信をめぐる混乱は、制度の設計や運用のあり方を問い直すきっかけとなりそうです。
Reference(s):
U.S. immigration agency mistakenly tells Ukrainian refugees to leave
cgtn.com








