イランと米国が核協議継続へ 成功に「極めて慎重」な見方
イランと米国、核協議を継続へ
2025年春から続いているイランと米国の核協議は、オマーンや欧州の都市を舞台に第三ラウンドまで進みました。両国は協議をさらに続けることで一致していますが、イラン側は合意の行方について「楽観は極めて慎重だ」と強調しており、先行きは依然として不透明です。
マスカットでの第三ラウンド:6時間の集中協議
イランのアッバス・アラクチ外相と、米国の中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏は、オマーンの仲介を通じてマスカットで第三ラウンドの間接協議を行いました。協議はおよそ6時間にわたり、1週間前にローマで行われた第二ラウンドに続くものです。
ローマでの協議について、双方は「建設的だった」と評価しており、その流れを受けた今回のマスカット協議でも、やり取りは一段と具体的なものになったとされています。
アラクチ外相はイラン国営テレビに対し、「協議は極めて真剣かつ技術的だ」と述べたうえで、「主要な論点でも細部でも、なお相違が残っている」と説明しました。
「極めて慎重な楽観」 イラン側のスタンス
アラクチ外相は、イランと米国の双方に「真剣さと決意」があると評価しつつも、合意の実現に対してはあくまで慎重な姿勢を崩していません。
「協議は非常に真剣で技術的だ。主要な問題と細部の両方で、まだ違いが残っている。双方に真剣さと決意があるが、我々の楽観は依然として極めて慎重だ」と外相は語りました。
10年にわたって続いてきた核問題をめぐる行き詰まりを考えると、わずかな言葉の選び方にも、イラン側が抱える警戒感の強さがにじみます。
書面で交わされる「技術的な」論点
今回の第三ラウンドでは、論点がより詳細で技術的なレベルに踏み込んだとされています。アラクチ外相は「徐々に、より詳細で技術的な議論に入っていった」と述べ、立場の違いは主に書面でやり取りされたことを明らかにしました。
「我々は何度も書面で意見を交換した。間接協議では、技術的な議論には精度が求められるため、立場は主に書面で交わされた」と説明しています。
マスカットでは、首席交渉官どうしの会合に先立ち、専門家レベルの間接協議も行われ、将来の核合意の枠組みづくりが話し合われました。協議に詳しいイラン当局者は、この専門家協議を「難しく、複雑で、真剣なものだった」と評しています。
米国側は「前向きで生産的」と評価
米政権高官も、今回の一連の協議を「前向きで生産的だった」と評価し、「まだやるべきことは多いが、合意に向けてさらなる進展があった」と述べました。
この高官によると、双方は近く欧州で協議を再開することで一致しており、核協議は今後も段階的に続く見通しです。
オマーンの仲介と今後のスケジュール
オマーンのバドル・アルブサイディ外相は、協議は翌週以降も続き、5月3日には新たな「ハイレベル会合」が暫定的に予定されていると明らかにしました。会合の開催地は、オマーン側が追って発表する見通しとされました。
これに先立ち、2025年4月12日に第一ラウンドがマスカットで、1週間後に第二ラウンドがローマで開催されています。いずれもオマーンが仲介役を務め、イランと米国の間で立場の溝を埋める努力が続けられてきました。
唯一の目的は「核計画の平和性に対する信頼」
アラクチ外相は、今回の核協議の目的について、「イランの核計画の平和的な性格に対する信頼を構築することと引き換えに、制裁解除を実現することだ」と述べました。
制裁緩和と核活動の制限をどう結びつけるかは、2015年の核合意以来、一貫して交渉の核心にあるテーマです。今回も、「どこまで制裁を緩めるのか」「核活動のどの部分にどのような制限を課すのか」といった、細部の設計が焦点になっているとみられます。
2015年核合意と米国の離脱
イランは2015年7月、英国、中国、フランス、ドイツ、ロシア、米国の6カ国と核合意(包括的共同行動計画、JCPOA)に署名し、核計画への制限を受け入れる代わりに、経済制裁の解除を得る枠組みに入りました。
しかし米国は、ドナルド・トランプ氏の最初の政権期にあたる2018年5月、この合意から離脱し、対イラン制裁を再発動しました。これを受けてイランも、合意に基づく一部の核義務の履行を段階的に縮小してきました。
その後も核合意の復活に向けた試みは続いているものの、「実質的な進展は得られていない」とされています。今回の協議は、その膠着状態を打開できるかどうかを試す場でもあります。
「合意する」と「軍事行動に出る」のあいだ
トランプ米大統領は、米誌「タイム」のインタビューで「イランと合意を結ぶことになると思う」と述べ、合意への自信をにじませました。一方で、外交が失敗した場合には軍事行動も選択肢であるとの考えを改めて示しています。
外交的な解決に期待を示しながらも、軍事的圧力の可能性を同時に提示する姿勢は、イラン側にとってリスクと機会の両面を孕みます。圧力が譲歩を促すこともあれば、強硬姿勢を強める結果を招くこともあるからです。
見えてきたもの、まだ見えないもの
今回の協議から浮かび上がるのは、次のような構図です。
- イランと米国の双方が、「協議を続ける意思」と「一定の前向きな評価」を示していること
- 同時に、主要な論点と細部の両方で隔たりが残っており、イラン側は楽観視を避けていること
- 協議の唯一の目的が、「核計画の平和性に対する信頼」と「制裁緩和」の交換にあるとはっきり示されていること
- オマーンをはじめとする第三国が、静かな仲介役として存在感を高めていること
技術的な文言や細部のスキームは、外からは見えにくい領域です。それでも、関係国の発言からは、緊張と期待が入り混じった空気がにじみます。
10年越しの核問題をめぐる行方は、いまも簡単には読めません。イラン側の「極めて慎重な」楽観と、米国側の「前向きで生産的」との評価のあいだに、どのような着地点が見出されるのか。中東の安定と国際エネルギー市場にも影響を及ぼしうるテーマだけに、今後の一つ一つの発言と会合の意味合いを、丁寧に追っていく必要がありそうです。
Reference(s):
Iran 'extremely cautious' about success of nuclear talks with U.S.
cgtn.com








