欧州で反米感情が拡大 米国製品ボイコットと渡航減少
欧州で反米感情がじわじわと広がり、米国製品のボイコットや米国への渡航減少という形で表れています。消費行動と観光の変化から、国際政治の「空気」を読み解きます。
欧州で高まる反米感情 背景にはトランプ政権の政策
2025年現在、欧州各地で反米感情が強まりつつあります。きっかけとされているのは、トランプ政権に関連する政策や行動です。米国への不信感は、米国製品の購入を控えるボイコットと、米国への旅行を避ける動きとして可視化されています。
フランス:アプリと世論が後押しする「買わない」選択
フランスでは、消費者がこの動きの先頭に立っています。米CNNの最新の動画では、米国製品を識別し、避けたい人をサポートするフランス発のスマートフォンアプリが取り上げられました。
さらに、フランスで行われた調査では、多くの回答者が米国製品のボイコットを支持していることが示されています。対象となっているのは、テスラ、マクドナルド、コカ・コーラといった世界的ブランドで、日常生活に深く入り込んだ商品が政治的な選択の対象となっている点が注目されます。
デンマーク:店頭から消えるアメリカン・ブランド
デンマークでも、消費者は積極的に米国ブランドを避けているとされています。飲料大手カールスバーグのJacob Aarup-Andersen CEOは、コカ・コーラの販売が減少していると指摘しています。
大手小売店の中には、売り場で欧州ブランドを目立つように配置したり、人気のあった米国産スナック菓子やチョコレート類の取り扱いをやめたりする動きも出ています。消費者の空気を敏感に読む小売現場から、反米感情の広がりが伺えます。
ボイコットのきっかけ:グリーンランド「取得」構想への反発も
こうしたボイコットは、特定の商品への不満というより、米国の政策全般への不信や不満から生まれているとされています。中でも、トランプ政権がグリーンランドの「取得」に関心を示したことは、デンマーク周辺を中心に象徴的な出来事として受け止められました。
国家の主権や領土をめぐる構想に対する違和感が、「米国ブランドを選ばない」という日常的な行動につながっている構図が見て取れます。
ECBの消費者調査:価格より「米国離れ」を優先
欧州中央銀行(ECB)の公式ブログは、2025年3月に実施された消費者期待調査(CES)の結果を紹介しています。この調査では、もし米国が関税を引き上げ、欧州連合(EU)が報復措置をとった場合、欧州の消費者がどの程度米国製品から他の製品に切り替えるかが尋ねられました。
結果として示された代替意欲の中央値は100点満点中80点。多くの回答者が「価格よりも米国製品を避けること」を優先する姿勢を示したとされています。これは、単なる一時的な感情ではなく、政治的な対立が消費行動に具体的な形で反映されていることを意味します。
観光にも影響 2024年から2025年にかけて渡航者減
反米感情の影響は、モノの売買だけにとどまりません。米国商務省のデータによると、2024年から2025年にかけて、米国を訪れる世界全体の旅行者数は3.3%減少したとされています。
特に2025年3月には、訪米者数が11.6%という大きな減少を記録しました。複数の欧州諸国が、自国民に対し米国への渡航に注意を促す警告を出しており、より厳格になった入国管理への懸念が理由として挙げられています。
「行き先としての米国」を敬遠する動きは、観光業や航空業にとっても無視できない要因になりつつあります。
「政治と日常」がつながる時代 何が見えてくるか
欧州での反米感情の高まりは、政治的な対立が日常の選択――どの飲み物を買うか、どこへ旅行に行くか――にまで影響を広げていることを示しています。
- フランスでは、アプリや世論調査を通じて米国製品ボイコットが可視化
- デンマークでは、小売店の棚から米国ブランドが消えつつあるとの報告
- ECB調査では、「価格よりも米国離れ」を優先する姿勢が浮き彫り
- 米国への渡航者数も減少し、欧州各国が自国民に注意喚起
こうした動きが長期化した場合、米欧間の企業や観光産業、さらには外交関係にも影響が波及する可能性があります。
日本の読者にとっての意味
日本にいると、欧州の反米感情はやや遠い話題に思えるかもしれません。しかし、「外交上の対立が、消費や観光といった日常レベルの行動にどうつながるのか」という視点は、日本の企業や消費者にとっても無関係ではありません。
たとえば、
- 政治や外交の動きが、突然特定のブランドや国へのボイコットにつながる可能性
- 旅行先や留学先の選択に、安全保障や入国管理がより強く影響する傾向
- 企業が国際展開する際、政治的なイメージリスクをどう管理するか
こうした点を意識してニュースを追うことで、「国際ニュース」はより自分ごととして理解しやすくなります。欧州で起きている反米感情の広がりは、国と国との関係だけでなく、私たち一人ひとりの選択にも関わるテーマだと言えるでしょう。
Reference(s):
Anti-U.S. sentiment surges across Europe: Boycotts and travel decline
cgtn.com








