フォード、トランプ関税で15億ドル減益警告
フォード、トランプ関税で15億ドル減益見通し
米自動車大手フォード・モーターは、トランプ米大統領の関税政策により、今年の利益が約15億ドル押し下げられる見通しだと発表しました。関税をめぐる不透明感が強まっているとして、同社は2025年通期の業績見通しも取り下げています。
サプライチェーンと政策リスクで業績予想を撤回
フォードは声明の中で、短期的な重大リスクが高まっていると指摘し、次のような要因を挙げています。
- 関税の影響で、自動車業界全体のサプライチェーン(部品供給網)が混乱し、生産に支障が出る可能性
- 米国内で今後、新たな関税や関税率の引き上げが導入されるおそれ
- 関税の運用方法や、関税相殺措置(関税負担を軽減する仕組み)の変更
- 他国・地域による報復関税や追加的な貿易制限と、それに伴う市場の混乱
- 税制や排出ガス規制をめぐる政策の先行き不透明感
こうした要因が重なり、従来示していた2025年の業績ガイダンス(会社側の業績目標)が現実的ではなくなったとして、フォードは一旦白紙に戻す判断をしました。
自動車関税前の駆け込みで小売販売は5%増
一方で、2025年第1四半期(1〜3月)の販売動向を見ると、トランプ政権による自動車関税の発効前に新車を購入しようとする動きが強まりました。自動車関税は今年4月初めに発効しており、その前に買っておこうと考える顧客が増えたためです。
フォードによると、第1四半期の実績は次の通りです。
- 全体の販売台数は50万1,291台と、前年同期比で1.3%減少
- しかし小売販売は5%増加し、とくにピックアップトラックやSUV(多目的スポーツ車)、電気自動車(EV)が好調
数字だけを見ると全体販売は減っていますが、個人向け販売はむしろ伸びており、駆け込み需要がフォードのトラックやSUV、EVの販売を後押しした形です。
なぜ関税が自動車メーカーの利益を直撃するのか
自動車産業は、多数の部品を世界中から調達するサプライチェーンに依存しています。関税が導入されると、部品や完成車の輸出入コストが上昇し、メーカーは次のような選択を迫られます。
- 自社でコストを吸収し、利益率の低下を受け入れる
- 販売価格に上乗せして、消費者の負担増につなげる
- 仕入先や生産拠点を見直し、サプライチェーン全体を再構築する
フォードが今回、利益の大幅な減少を見込むと同時に業績見通しを撤回したのは、こうしたコスト構造の変化と、各国・地域の対応が読めないことが背景にあります。声明でも業界全体のサプライチェーンへの影響に言及しており、他の自動車メーカーや関連企業にも波及する可能性があります。
投資家と消費者が注視すべきポイント
今回のフォードの動きは、関税政策が企業の計画にもたらす不確実性を象徴しています。今後の注目点としては、次のようなポイントが考えられます。
- フォードを含む自動車各社の利益率や投資計画がどこまで影響を受けるか
- 関税コストの一部または全部が、新車価格の上昇という形で消費者に転嫁されるかどうか
- 他国・地域による報復関税が現実化した場合、輸出向けモデルの販売にどの程度影響が出るか
- 税制や排出ガス規制の見直しが、自動車の電動化や新技術投資のペースを変えるかどうか
関税は、単なる国と国との貿易問題にとどまらず、自動車産業の長期戦略や、私たちの日常のクルマ選びにも影響を与え得るテーマです。フォードの決算や今後の発言は、国際経済と自動車市場を読み解く一つの手がかりになりそうです。
Reference(s):
Ford warns of $1.5 billion profit loss due to Trump's tariffs
cgtn.com








