米連邦裁、ハーバード留学生禁止を一時差し止め トランプ政権と深まる対立
米連邦裁判所がトランプ政権の「留学生禁止」を一時差し止め
米マサチューセッツ州ボストンの連邦地方裁判所は現地時間の金曜日、ハーバード大学が国際学生を新たに受け入れることを事実上禁じるトランプ政権の措置について、一時的な差し止め命令(仮処分)を出しました。命令を出したアリソン・バロウズ判事は、公平な審理が行われるまで現状を維持することが正当だと判断しています。
バロウズ判事は決定文の中で、この仮処分が認められなければ、ハーバード大学は「すべての当事者の意見を聞く機会が訪れる前に、即時かつ回復不能な損害を被る」と指摘し、現段階での差し止めが正当化されると述べました。
何が差し止められたのか
今回の命令によって、トランプ政権は当面の間、ハーバード大学の学生・交流訪問者プログラム(Student and Exchange Visitor Program、SEVP)認証の取り消しを実行することができなくなりました。また、米国土安全保障省が5月22日付で出した取り消し通知についても、その効力を発生させることが禁じられています。
今回の一時差し止めで、少なくとも今後の審理までは次の点で現状が保たれることになります。
- ハーバード大学のSEVP認証の取り消し手続きが停止される
- 国際学生の新規受け入れ禁止措置の発効が一時的に見送られる
- 現在在籍している国際学生の法的地位に、直ちに変更は生じない
政権側の主張 「留学生受け入れは特権」
この前日、米国土安全保障長官のクリスティ・ノーム氏は、ハーバード大学のSEVP認証を取り消す決定を発表し、全米の大学や教育機関に向けて強い警告のメッセージを出していました。ノーム長官は声明で、国際学生を受け入れることは「権利ではなく特権」だとした上で、ハーバード大学が連邦法に繰り返し違反してきたと主張し、その特権を取り上げると述べています。
さらにノーム長官は、今後の国際学生の新規受け入れを認めないだけでなく、すでに在籍している外国人学生についても、他大学に移るか、在留資格を失うかの選択を迫られると指摘しました。政権側は、今回の措置を連邦法順守を徹底させるための強硬策と位置づけています。
ハーバードの反論 「学問の独立への報復」
一方のハーバード大学は、差し止め命令が出た同じ金曜日、トランプ政権を相手取る2度目の連邦訴訟を提起しました。大学学長のアラン・ガーバー氏は学内向けの書簡で、今回の認証取り消しは、ハーバードが学問の独立性を手放さず、連邦政府によるカリキュラムや教員、学生への違法な支配に服従することを拒んできたことに対する一連の報復の一部だと批判しています。
ガーバー学長は、今回の措置を違法で不当な行為として強く非難し、ハーバードに在籍する何千人もの学生や研究者の将来を危険にさらすものであり、米国内の他の大学で学ぶ多くの人々にとっても警告となると訴えました。アメリカで学び、夢を実現しようとしている人々にとって、今回の決定は大きな不安要因になり得ます。
4月から続くトランプ政権とハーバードの対立
今回の衝突は、突然始まったものではありません。今年4月11日、トランプ政権の当局者はハーバード大学に書簡を送り、実質的なガバナンス改革と再構築を要求していました。政権側はその中で、キャンパスにおける反ユダヤ主義とされる言動の排除や、特定の少数派グループを優遇するダイバーシティ(多様性)推進策の見直しなどを求めています。
ハーバード大学は4月14日、こうした要求を受け入れず、大学の運営体制や採用、入試のあり方を大きく変えるような抜本的改革を拒否しました。すると数時間後、政権側は同大学に対する総額22億ドルの複数年助成金と、6,000万ドルの複数年契約について支払いを凍結すると発表し、圧力を強めました。
さらに4月16日には、ノーム長官がハーバード大学に対し、留学生ビザを持つ学生による違法かつ暴力的な活動の疑いに関する情報を、4月30日までに提出するよう求めました。従わなければ、国際学生を受け入れる認可を失うリスクがあると通告しています。ハーバード側は4月21日、助成金などの凍結は違法で政府の権限を超える行為だとして、これを争う連邦訴訟を起こしました。
留学生27%超のキャンパスに走った衝撃
ハーバード大学のデータによると、2023年秋学期の時点で、同大学の学生のうち27%以上が国際学生でした。今回のSEVP認証の取り消しや新規受け入れ禁止が実行されれば、新たに留学を予定していた人だけでなく、すでに在籍している多くの学生が、転学を余儀なくされたり、在留資格を失ったりする可能性があったことになります。
ノーム長官は今回の決定を全国の大学への警告だと表現しており、その影響はハーバードにとどまらず、全米の高等教育機関に波及する可能性があります。国際学生を多く受け入れてきた大学にとって、留学生の受け入れが特権と位置づけられることは、今後の戦略を大きく左右しかねません。
海外で学ぶことを目指す人への示唆
ハーバード大学を含むアメリカの大学には、世界中から教育や研究の機会を求めて多くの人が集まっています。今回の一連の動きは、アメリカで学ぶことを目指す人にとって、入国や在留のルールだけでなく、大学と政府の関係にも目を向ける必要があることを示しています。
今後、連邦裁判所での本格的な審理を通じて、トランプ政権による留学生政策や大学への関与がどこまで認められるのかが争われることになります。2025年12月現在、この問題はアメリカの高等教育、移民政策、そして学問の自由をめぐる議論の焦点の一つとなっており、その行方が注目されています。
Reference(s):
cgtn.com








