ロサンゼルスで州兵とデモ隊が衝突 トランプ政権の移民取り締まりに抗議
アメリカ・ロサンゼルスで、トランプ大統領による州兵(ナショナル・ガード)の異例の派遣に抗議する大規模デモが行われ、州兵や警察と衝突しました。移民取り締まりと州の主権をめぐる緊張が、一気に表面化しています。
何が起きたのか:ロサンゼルス中心部で激しい衝突
現地時間の日曜日、人口約400万人のロサンゼルスで、数千人規模のデモ参加者が街頭に繰り出しました。きっかけとなったのは、トランプ大統領が州の要請なしに州兵を派遣したことへの抗議です。
デモ隊の一部は主要高速道路である101号線を封鎖し、近くでは自動運転車が少なくとも4台放火され、黒煙が立ちのぼりました。燃えたのは自動運転技術を手がけるウェイモの電気自動車だとされています。
治安当局は群衆制圧用の催涙ガス、ゴム弾、閃光弾などを使用し、デモ隊の解散を図りました。一部の警官は騎馬でパトロールし、別の部隊は防護服姿で州兵の後方に展開し、連邦施設の警備に当たりました。
警察はデモを「違法な集合」と宣言し、夕方までに多くの参加者は解散しましたが、残った人々の一部は近くの公園から椅子を持ち出して即席のバリケードを築き、物を投げるなどして抵抗しました。
閉鎖された101号線の南行き車線の上からは、コンクリート片や石、電動キックボード、花火などがカリフォルニア・ハイウェイパトロールの警官や車両に向けて投げ込まれ、警官たちは高架下に身を隠したとされています。
州兵投入の目的と規模:連邦施設の防護と移民政策
今回派遣された州兵は、およそ300人規模とされ、ロサンゼルス中心部の連邦施設の警備を主な任務としています。その中には、最近拘束された移民が収容されたとされる拘留センターも含まれています。
日曜日の朝から、州兵はロサンゼルス中心部のメトロポリタン拘置センター前で、長銃と暴動鎮圧用の盾を携えて横一列に並びました。抗議する人々は「恥を知れ」「家に帰れ」と声を上げ、州兵に接近しました。
すると別の制服組の部隊が前進し、煙の充満した筒を街路に向けて発射。続いてロサンゼルス市警(LAPD)が群衆制圧用の弾丸を発射し、「違法な集合」とみなした人々の解散を試みました。
一部のデモ隊は101号線を再び封鎖しましたが、州のハイウェイパトロール部隊が午後遅くに道路から排除し、南行き車線の閉鎖が続いたとされています。周辺のダウンタウンの複数街区には、違法な集合を理由として封鎖命令が出されました。
ガビン・ニューサム州知事の反発:州の主権めぐり緊張
カリフォルニア州のニューサム知事は日曜日の午後、トランプ大統領宛ての書簡で州兵派遣の撤回を求めました。知事は、この派遣を「州の主権に対する重大な侵害」と表現し、強い懸念を示しました。
ニューサム知事はロサンゼルスで地元の治安当局や自治体関係者と会談していましたが、金曜日以降、大統領と直接話したかどうかは明らかになっていません。
今回の派遣は、州知事の要請なしにその州の州兵が動員される、数十年ぶりの事例とされています。ブレナン・センターによると、前回同様の措置が取られたのは1965年で、当時のジョンソン大統領がアラバマ州での公民権行進を守るために部隊を送った際でした。
トランプ大統領は日曜日、ニュージャージー州モリスタウンで大統領専用機に搭乗する前に記者団に対し、ロサンゼルスには「暴力的な人々」がおり、「絶対に見逃さない」と語り、強い姿勢を崩していません。
デモはなぜ広がったのか:移民取り締まりへの怒りと不安
今回のロサンゼルスの抗議行動は、トランプ政権による移民取り締まり強化への反発として、金曜日から続いてきた一連のデモの延長線上にあります。日曜日の行動は、地域で3日目となる抗議でした。
金曜日にはロサンゼルス中心部のファッション地区や、大型ホームセンターの駐車場など複数の場所で、連邦当局が移民を拘束しました。その後、土曜日にはロサンゼルス南部のパラマウントや隣接するコンプトンなど、ラテン系住民が多い地域にもデモが広がりました。
土曜日には、国土安全保障省の事務所近くの別のホームセンター周辺に連邦当局が集結し、再び一斉摘発が行われるのではないかとの疑念から、抗議者が集まりました。連邦当局は後に、この場所では執行活動は行っていなかったと説明しています。
一部のデモ参加者は、国境警備隊の車両の進行を止めようと、石やコンクリート片を投げつけました。これに対し、鎮圧装備をした当局側は、催涙ガスや閃光弾、ペッパーボールなどで応じました。
当局によると、ロサンゼルス地域での1週間の移民拘束者数は100人を超えています。抗議活動の中でも多くの逮捕者が出ており、その中には、治安当局の業務を妨害した疑いで拘束された有力な労働組合指導者も含まれています。
州兵派遣が意味するもの:安全保障と権利のせめぎ合い
今回の州兵派遣は、トランプ政権による大規模な送還政策に反対する人々への対応として、数十年ぶりに州の同意なしで行われた点で、アメリカ政治の中でも象徴的な動きといえます。
一方で、連邦政府は治安維持と連邦施設の保護を理由に挙げており、移民の権利や地域住民の安全、そして州と連邦の力関係が複雑に絡み合う構図が浮かび上がっています。
ロサンゼルスで続く抗議デモと州兵投入は、次のような問いを突きつけています。
- 移民取り締まりと人権保護のバランスをどう取るのか
- 連邦政府と州政府の権限の線引きをどこに置くのか
- 治安維持の名の下に使われる力が、どこまで許容されるのか
今後の焦点は、ニューサム知事の要請に対しトランプ政権が州兵の撤収に応じるかどうか、そして抗議活動の中で行われた逮捕や武力行使について、どこまで検証と説明が行われるかです。
国際ニュースとしても、移民政策と国内の分断、州と連邦の関係というアメリカ社会の根本的なテーマが凝縮された今回の動きは、日本を含む他地域にとっても、民主社会における抗議と治安維持のあり方を考える材料となりそうです。
Reference(s):
Protesters clash with National Guard troops in LA – What do we know?
cgtn.com




