イラン制裁スナップバックへ 英仏独が国連制裁復活手続き開始、イランは報復示唆
イランの核問題をめぐり、英国・フランス・ドイツ(E3)が国連制裁の「スナップバック」発動に向けた30日間の手続きを開始しました。イランは強く反発し、核不拡散条約(NPT)からの離脱も選択肢に含めるなど、緊張が一段と高まっています。
英仏独が国連制裁の復活手続き開始
木曜日、英国・フランス・ドイツの3カ国は、イランの核開発をめぐる「係争中の核計画」に関し、国連制裁を再発動させるための30日間のプロセスに入りました。これは、いわゆるスナップバック・メカニズムと呼ばれる仕組みで、制裁解除後でも、違反があると判断した場合に国連制裁を一括で復活させる手続きとされています。
この動きは、6月中旬にイスラエルと米国がイランの核関連施設を空爆してから2カ月後にあたり、すでに高まっていた緊張をさらに刺激する一手と見られています。
イランは「外交を損なう」と強く反発
これに対し、イランの高官は、英仏独の対応が外交を損ない、圧力には屈しないと強調しました。外相のアッバス・アラクチ氏は、E3によるスナップバック発動の手続きについて、「正当化できず、違法で、いかなる法的根拠も欠いている」と非難しました。
アラクチ氏はまた、イランの立場は国際法と核不拡散条約(NPT)に基づく「合法的権利」を守ることで一貫しているとし、自国の権利と利益を守るため、適切な対応を取ると述べています。
外務副大臣のカゼム・ガリババディ氏も、スナップバックが実際に発動されれば「イランが国際原子力機関(IAEA)と協力を続ける意味はなくなる」と警告しました。IAEAは核施設の監視や査察を担う国際機関であり、協力停止となれば、イランの核活動をめぐる透明性が大きく損なわれることになります。
ジュネーブ協議は不調 E3は「合意の準備が不十分」と判断
イスラエルと米国による空爆以降、イランとE3はスナップバック発動を先送りするため、複数回の協議を行ってきました。しかし、今週火曜日にジュネーブで行われた協議でも、E3側が求めるシグナルは十分には得られなかったとされています。
その結果、E3は国連制裁の復活手続きを進める一方で、9月末までにイランが核計画をめぐる懸念を十分に払拭するなら、具体的な制裁復活の行動は延期する用意があるとしています。
米国と国連は「30日間の外交的猶予」を強調
米国のマルコ・ルビオ国務長官は、E3の決定を歓迎しつつ、ワシントンは依然としてイランとの直接対話に応じる用意があると表明しました。その目的は「イランの核問題に対する平和的で持続的な解決」を図ることだとしています。
国連も、今後30日間を「エスカレーションを避けるための重要な機会」と位置付けています。グテーレス国連事務総長の報道官ステファン・デュジャリック氏は、「今後30日間は、さらに事態が悪化することを避け、平和に資する道を見いだすための好機だ」と述べ、イランと主要国に対し、この期間に核合意に達するよう呼びかけました。
また、E3の要請により、国連安全保障理事会は金曜日にイランへのスナップバック適用について非公開会合を開く予定です。安全保障理事会の議論は、国連として今回の動きをどのように扱うのかを占う重要な場となります。
NPT離脱も選択肢に 核不拡散体制への影響は
イランはこれまでも、制裁が再び科されれば「厳しい対応」を取ると警告してきました。その中には、核不拡散条約(NPT)からの脱退を含む選択肢も検討しているとされています。
もしイランがNPTを離脱し、IAEAとの協力も打ち切れば、国際社会がイランの核活動を検証する手段は大幅に限られます。これは、核兵器の拡散を防ぐ現在の枠組みに対する信頼を揺るがしかねません。
日本の読者へのポイント:なぜこのニュースが重要か
- 国連制裁の復活をめぐる30日間のプロセスは、イラン核問題の進路を左右する節目となっています。
- イランはNPT離脱やIAEAとの協力停止も辞さない姿勢を示しており、核不拡散体制全体への影響が懸念されます。
- 中東の緊張が高まれば、国際安全保障や世界経済にも波及し得るため、日本を含む各国にとって無関係とは言えません。
今後30日間の外交と駆け引きが、制裁の行方だけでなく、国際社会が核問題にどう向き合うのかを映し出す試金石になりそうです。
Reference(s):
Iran vows response as Europeans move to reimpose UN sanctions
cgtn.com








