国連安保理、イラン制裁緩和決議を否決 スナップバック回避ならず
国連安保理、イラン制裁緩和決議を否決
国連安全保障理事会は金曜日、2015年のイラン核合意(包括的共同行動計画=JCPOA)に基づく制裁緩和を延長する決議案の採択に失敗しました。イランへの国連制裁が自動的に復活する「スナップバック」を回避できるかどうかが焦点でしたが、決議案は必要な賛成票を得られませんでした。
決議案の中身と採決結果
決議案は、9月の安保理議長国を務める大韓民国(韓国)が議長として提示したもので、イランに対する制裁緩和措置を継続する内容でした。採決の結果は、賛成4、反対9、棄権2。採択には9カ国の賛成が必要なため、決議は否決されました。
賛成したのはアルジェリア、中国、パキスタン、ロシアの4カ国でした。ガイアナと韓国が棄権し、残る9カ国が反対票を投じました。
スナップバックとは何か
今回の決議案が注目された背景には、「スナップバック」と呼ばれる仕組みがあります。これは、イラン核合意と、それを承認した国連安全保障理事会決議2231に盛り込まれた仕組みで、特定の手続きが踏まれると、合意前に存在していた国連制裁を一括して復活させる制度です。
英仏独の3カ国(いわゆるE3)は8月28日、イランが合意を履行していないとして、テヘランの「履行不履行」を安保理に通告し、スナップバック手続きを発動したと主張しています。
決議2231によれば、この通告から30日が経過しても安保理が別の決議を採択しない場合、以前の国連制裁が自動的に復活します。今回否決された決議案は、この自動復活を止めるための「例外」を安保理として決める試みでもありました。
争点となった紛争解決メカニズム
しかし、このE3によるスナップバック発動には、法的な正当性をめぐる疑問も投げかけられています。イラン核合意と決議2231には、当事国間の紛争を処理するための紛争解決メカニズム(DRM)が設けられており、原則として35日間かけて協議や調整を行うことになっています。
スナップバックは、本来このDRMで問題が解決しなかった場合に初めて発動できるとされています。そのため、DRMを十分に経ないまま通告だけでスナップバックを主張したE3の対応について、一部の国から「手続きが飛ばされているのではないか」という見方が出ています。
中国・ロシアが提案した6カ月延長
中国とロシアは、イラン核合意と決議2231の効力を6カ月延長し、外交的な解決のための時間を確保する内容の決議案を提出しました。今回の決議案は、こうした延長案を反映しつつ、イランへの制裁緩和を続けることで緊張の高まりを抑えようとする試みでもありました。
決議2231には、失効日として2025年10月18日が定められており、その日以降は安保理としてイラン核合意を扱わないことになっていました。6カ月の延長は、この「最終期限」を先送りし、関係国が交渉を続ける余地を残す狙いがあったといえます。
何が問われているのか
今回の否決によって、イラン核合意を土台とした制裁緩和を国連安保理レベルで延長する道は、少なくとも当面のところ閉ざされた形になりました。同時に、合意の解釈や手続きをめぐって、安保理内部で見解の深い溝があることも浮き彫りになりました。
- 合意に基づくルールを、どのような手続きで運用するのか
- 一方的なスナップバック主張をどこまで認めるのか
- 外交的な時間を確保する余地を、国連がどこまでつくれるのか
イラン核合意は、核不拡散体制と中東地域の安定にとって重要な意味を持つ枠組みです。今回の安保理での攻防は、単に一つの決議案の行方にとどまらず、多国間で結んだ合意をどのように維持し、見直していくのかという、より大きな問いを投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








