マンチェスターのシナゴーグ襲撃で英国が厳戒 警察発砲が犠牲招いた可能性
英国北西部マンチェスターのシナゴーグ前で起きた車両突入と刺傷事件を受け、英国当局は金曜日、国内の警戒レベルを高めました。警察の発砲が犠牲者を生んだ可能性も明らかになり、テロ対策と警察の対応をめぐる議論が広がりそうです。
マンチェスターのシナゴーグ前で何が起きたのか
事件が起きたのは、英国北西部の都市マンチェスターにあるシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)の外でした。現場では、車が人々に突っ込んだあと、加害者による刺傷が続くという、連続した襲撃が発生しました。
襲撃は、ユダヤ教の暦で最も神聖とされる「ヨム・キプル」の日に起きました。礼拝に集まっていた人々を狙う形となり、地域のユダヤ人コミュニティに大きな衝撃を与えています。
警察によると、この襲撃でユダヤ人男性2人が死亡し、3人が負傷しました。攻撃を行ったとされるジハード・アル=シャミー容疑者は、警察によりその場で射殺され、当局は事件をテロ事件と認定しました。
警察の発砲が犠牲者を出した可能性
一夜明けた金曜日、グレーター・マンチェスター警察(GMP)は、犠牲者の一人が警察の発砲により死亡した可能性を公表しました。英内務省の法医学担当医による暫定的な判断として、死亡した被害者の一人に銃創と一致する傷が確認されたと説明しています。
GMPのスティーブン・ワトソン警視総監は、容疑者が銃を所持していなかったとみられることを踏まえ、この銃創について「警官が凶悪な襲撃を止めようとした結果として生じた、悲劇的で予期せぬ帰結である可能性がある」と述べました。
また、負傷者のうち1人についても、医療関係者から銃創を負っているとの報告があったといいます。この負傷者の命に別条はないものの、ほかの2人は重体で入院が続いているとされています。
英国全土で警戒強化 シナゴーグの安全対策も
事件を受け、英国は金曜日、厳戒態勢に入りました。とくにユダヤ人コミュニティと宗教施設の安全確保が重要課題となっています。
キア・スターマー首相は、ユダヤ人である妻ビクトリアさんとともに現場を訪問し、被害者への哀悼を表明しました。そのうえで、全国のシナゴーグでの警備を強化する方針を示し、ユダヤ人コミュニティを守るため、できる限りのことをすると誓いました。
事件がユダヤ教の最も重要な祭日に起きたこともあり、英国社会では、少数派の宗教コミュニティへの憎悪犯罪(ヘイトクライム)やテロのリスクに、改めて注目が集まっています。
テロ対策と警察の責任、どう両立させるか
今回の事件は、二つの困難な問いを英国社会に投げかけています。一つは、宗教施設を含む市民の安全をどう守るかというテロ対策の課題です。もう一つは、武装した警察官の介入が不可避な状況であっても、誤射や二次被害をどう最小限に抑えるかという警察の責任です。
英国のユダヤ人コミュニティでは、礼拝所や学校周辺での警備強化を歓迎する声がある一方で、日常生活が常時厳戒のような感覚になることへの不安も指摘されています。
一方、警察による誤射の可能性が示されたことで、迅速に脅威を無力化することと現場の市民を守ることをどう両立させるのかという問題も、避けて通れない論点になりつつあります。
私たちがこのニュースから考えられること
宗教施設への攻撃は、その信仰を持つ人々だけでなく、多様な背景を持つ社会全体への攻撃でもあります。遠く離れた日本からこのニュースを読む私たちにとっても、特定の集団を狙った暴力をどう許さないのか、安全を守るための力の行使をどう監視し、説明責任を求めるのかは、他人事ではありません。
SNSや日常の会話でこの事件を共有するとき、単なるショッキングなニュースとして消費するのではなく、宗教や出自の違いを超えた共感と、暴力を抑止するための冷静な視点を持てるかどうかが問われています。
Reference(s):
cgtn.com








