欧州首脳がウクライナ支持を再確認 トランプ特使のモスクワ行きにらむ
欧州首脳、「ウクライナ抜きの和平」に一線
欧州の主要首脳が、ウクライナ情勢をめぐる和平交渉からウクライナと欧州を外すいかなる取引も受け入れない、という強いメッセージを発しました。現地時間8日(月)、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やドイツのフリードリヒ・メルツ首相らが相次いで発言し、トランプ氏の特使がモスクワに向かう動きが伝えられる中で、欧州の関与の重要性を改めて強調しています。
パリでのマクロン・ゼレンスキー会談
フランスのエリゼ宮で行われた共同記者会見で、マクロン大統領はロシアとウクライナの紛争をめぐるいかなる和平案も、ウクライナと欧州が交渉の席に着いたうえで最終的に決まるべきだと述べました。
マクロン氏は、凍結されたロシア資産の扱い、安全保障上の保証、そしてウクライナの欧州連合(EU)加盟の可能性といった重要な論点について、「最終的な合意は欧州がテーブルを囲む中でしかあり得ない」と強調しました。そのうえで、「現時点で完成した和平計画が存在するわけではない」と述べ、拙速な合意に慎重な姿勢も示しています。
訪仏中のウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領も、紛争を「尊厳ある形」で終わらせたいとの目標を改めて表明しました。ゼレンスキー氏は、ウクライナには「確かな」安全保障の保証が必要だと訴え、今後の協議では領土問題が最も難しい論点になるとの見通しを示しました。
エリゼ宮によると、マクロン氏とゼレンスキー氏はこの日、欧州各国の首脳に加え、米国とウクライナの交渉担当者とも協議を行い、今後の和平プロセスや安全保障枠組みについて意見を交わしました。
ベルリンとワルシャワも足並みをそろえる
ドイツの首都ベルリンでは同じ8日、フリードリヒ・メルツ首相がポーランドのドナルド・トゥスク首相と会談し、記者会見でウクライナ情勢への立場を説明しました。
メルツ氏は、ウクライナ抜きに決められる「押しつけの和平」にドイツは反対だと明言しました。そして、「ウクライナと欧州に関わる決定は、ウクライナ人抜き、欧州人抜きでは行わない」と強調し、パリでのマクロン氏のメッセージと歩調を合わせています。
トゥスク首相もウクライナへの支持を表明し、ポーランドとドイツが協力して欧州の安全保障を強化していく考えを示しました。隣国としてロシア・ウクライナ情勢の影響を直接受ける2か国が、ウクライナ支援と欧州防衛で連携を深めている構図が見えてきます。
ラトビア大統領も「欧州を交渉の場に」
バルト三国の一つラトビアのエドガルス・リンケービチュ大統領もまた、ウクライナで将来合意されるかもしれない和平について、欧州が交渉のテーブルから外されるべきではないと述べました。
リンケービチュ氏は、ウクライナ和平に関するいかなる取り決めでも、欧州はその一部であるべきだと指摘し、マクロン氏やメルツ氏と同様に、欧州の主体的な関与を訴えています。
当事者不在の「和平」への警戒感
欧州首脳が共通して発しているメッセージは、ウクライナ情勢に関する決定を当事者の頭越しに進めることへの強い警戒感です。
- ウクライナ人の意思が反映されない和平は、正統性を欠く
- 欧州の安全保障に直結する以上、欧州が交渉の枠組みから外されるべきではない
- 外部の大国だけで決めた合意は、長期的な安定につながりにくい
こうした懸念が、「ウクライナ人と欧州人抜きの決定は行わない」という、今回の一連の発言の背景にあると考えられます。
トランプ特使のモスクワ行きと今後の焦点
一方で、トランプ氏の特使がモスクワに向かっていると伝えられる中、欧州の首脳たちがあえて「ウクライナと欧州抜きの和平」への反対をそろって打ち出したタイミングにも注目が集まります。特使の訪問の詳細な日程や議題は明らかになっていませんが、欧州としては、自らとウクライナが交渉の中心にとどまるべきだという立場を前もって示しておきたい思惑もにじみます。
今後の焦点は、次のような点に移っていくとみられます。
- 凍結されたロシア資産をどのように活用し、ウクライナ再建や賠償に結びつけるのか
- ウクライナに対する安全保障上の保証を、どのような枠組みで設計するのか
- 領土問題という最も難しい論点を、ウクライナと欧州を含む形でどう協議していくのか
こうした論点をめぐって、各国の駆け引きが続くことになりそうです。ウクライナ情勢と欧州外交をめぐる議論は、国際ニュースの最前線で今後もしばらく続くとみられます。読者一人ひとりにとっても、どのような和平の形が持続的な安全と公正さにつながるのか、考え続けることが求められています。
Reference(s):
Europeans rally round Ukraine as Trump envoy heads to Moscow
cgtn.com








