タイ・カンボジア国境で緊張激化 停戦合意なお実現せず
2025年12月14日現在、タイとカンボジアの国境地帯で砲撃や空爆が続き、マレーシアと米国が仲介する停戦の試みは足踏みしています。タイ陸軍は「停戦は存在しない」と明言し、民間地域への新たな攻撃を報告しました。地域全体で30万人を超える住民が避難を余儀なくされるなど、緊張は深刻さを増しています。
タイ側「停戦合意はない」 国境県の民間地域に被害
14日、タイ陸軍報道官のウィンタィ・スワリ氏は、タイ軍の陣地や民間地域に対するカンボジア側の攻撃が続いており、「現在、有効な停戦取り決めはない」と述べました。
タイ陸軍によると、カンボジア軍はBM-21多連装ロケット弾をタイ東北部シーサケート県の住宅地と学校周辺に向けて発射し、市民1人が死亡、住宅1棟が炎上しました。これに先立ち、タイのメディアは13日、タイ空軍のF-16戦闘機がカンボジア国境付近で攻撃を行ったと伝えています。
今回の激しい応酬は、今月7日に始まった最新の衝突の一部です。それ以降、両国は国境周辺で砲撃や空爆を繰り返し、軍事拠点だけでなく民間施設も被害を受けています。
カンボジア側「ホテルや橋を空爆」 避難民30万人超
これに対しカンボジア政府は、被害の深刻さを訴えています。ネス・ペアクトラ情報相は、タイによる空爆がプルサット州ビアルベン郡のホテルと2本の橋を直撃し、周辺の住宅地やインフラが攻撃されたと主張しました。
カンボジア当局は12日までに、タイ軍事作戦によって民間人11人が死亡し、59人が負傷、5州で30万3,000人以上が避難を余儀なくされていると発表しました。国境に近いバンテイメンチェイ州では、かつての市場跡地に設けられた仮設キャンプで、多くの家族が不安な夜を過ごしています。
停戦提案と食い違う認識
外交舞台では、ASEAN(東南アジア諸国連合)と米国が停戦の仲介に動いています。ASEAN議長国を務めるマレーシアのアンワル・イブラヒム首相は13日、タイとカンボジアに対し、同日午後10時に発効する即時停戦を提案しました。停戦はASEANの監視団と米国の参加によって検証される構想でした。
カンボジアのフン・マネット首相は、ソーシャルメディアへの投稿でこの提案への支持を表明し、即時停戦を受け入れる姿勢を示しました。
米国のドナルド・トランプ大統領も12日、フン・マネット首相とタイのアヌティン・チャンウィラクン首相と個別に電話会談を行い、その後「双方が停戦に合意した」と主張しました。
しかしタイ側はこれをすぐに否定し、アヌティン首相は13日、タイ領土と国民への脅威がなくなるまで軍事作戦を続ける方針を改めて表明しました。結果として、提案された停戦は現場レベルでは実現していません。
過去の合意の崩壊とASEANのジレンマ
今回の対立は、ここ数カ月で積み上げてきた合意が崩れつつあることも浮き彫りにしています。両国は8月7日に停戦に合意し、10月26日には第47回ASEAN首脳会議の場外で共同の平和声明にも署名していました。
それにもかかわらず、12月に入って再び砲撃戦に発展したことで、ASEANの善隣友好の原則は大きな試練に直面しています。両国は今回も、7月の衝突時と同様に「相手が先に撃った」と互いに非難し合っており、数百人が負傷し10万人以上が避難したとされる過去の事例が繰り返される懸念が広がっています。
マレーシア政府は、情勢を協議するためにASEAN外相の特別会合を近く招集する方針です。ただ、実際の停戦や緊張緩和につなげるには、両国が「誰が撃ったか」という争点を越えて、監視メカニズムや住民保護の枠組みづくりで歩み寄れるかが焦点になりそうです。
今後の焦点:住民保護と対話の経路
国境地帯では、タイ側のシーサケート県やカンボジア側の複数の州で、学校や住宅地が砲撃や空爆の危険にさらされています。短期間で数十万人規模の避難が発生していることから、停戦協議と並行して、避難路の安全確保や生活支援の枠組みづくりが急務になっています。
一方で、両国はともに自国民の安全と領土保全を強く訴えており、軍事的な抑止と停戦の間で揺れ動いています。今後、ASEANの枠組みや二国間協議を通じて、どこまで信頼を取り戻せるのか――その行方が、地域の安定を左右する局面に来ています。
Reference(s):
Thai-Cambodian border tensions persist as ceasefire efforts stall
cgtn.com








