EUの移民規制強化で加速する「第三国」返送 チュニジアに滞留する人々
きょう2025年12月18日は「国際移民デー」です。世界の移民・難民をめぐる議論が高まるなか、EU(欧州連合)で広がっているのが、移民を出身国ではない「第三国」に戻す動きです。EU域外に設ける「返送ハブ(return hubs)」構想も提案され、移民の流れを抑える狙いが強まっています。
「第三国」返送と返送ハブとは何か
今回の焦点は、EUが入域を抑えるだけでなく、域外での収容・送還を組み合わせて移民管理を進めようとしている点にあります。記事で示されている返送ハブは、主に次のようなイメージです。
- EU域外に設置される収容施設(拠点)
- 難民申請が却下された人などを収容し、送還手続きを進める
- 移民がEU域内にとどまる時間や人数を減らすことが目的
現場では「すでに滞留」が起きている——チュニジアが焦点に
しかし現実は、制度設計の言葉よりも複雑です。北アフリカのチュニジアでは、欧州を目指して移動してきた人々が、思うように渡航できず足止めされる状況が続いています。目的地に到達できないまま滞留が長期化すると、住まい、食料、医療、就労など生活の基盤が不安定になりやすく、不確実性そのものがリスクになります。
専門家が懸念する「返送ハブ化」の副作用
専門家は、EUがチュニジアを返送ハブの受け皿として位置づければ、状況がさらに悪化する可能性があると警告しています。論点は大きく3つです。
- 法的な宙づり(リーガルリンボ):どこで、どの法律のもとで、どのように異議申し立てができるのかが不透明になりやすい
- 地域資源への負荷:滞留者が増えるほど、住居や医療など地元の負担が増し、摩擦の火種にもなり得る
- 人道・保護の課題:収容環境、手続きの透明性、弱い立場の人の保護などが問われる
「危機の移し替え」が起きている、という見方
チュニジアの市民団体「チュニジア経済・社会権フォーラム」の報道官ロムダン・ベン・アモール氏は、次のように述べています。
「チュニジアでいま起きていることは、欧州連合、とりわけイタリアが2022年末以降に力を入れてきた戦略を反映しています。EUは北側の海岸に到達する移民の数を減らすことに成功し、その結果、移民危機はチュニジアへと移されたのです」
この指摘が示すのは、到達者数の減少が「問題の解決」ではなく、「負担の移動」として現れている可能性です。数字が下がる一方で、別の場所に滞留と不安定さが蓄積していく——その構図が、返送ハブ構想の議論と重なります。
国際移民デーに浮かぶ問い:管理と保護をどう両立するか
EUの移民管理には、域内の社会・政治的な圧力や治安・制度運用の課題が背景にあります。ただ、第三国での収容や送還を軸にすると、移民本人の権利保障や手続きの透明性、受け入れ側の社会的コストが見えにくくなります。
国境の外に「仕組み」を作るほど、責任の所在は複雑になります。移民の流れを抑える政策が、どこでどのような人道的・法的帰結を生むのか。国際移民デーの今日、その問いが改めて前景化しています。
Reference(s):
EU migration clampdown traps asylum seekers in transit countries
cgtn.com








