ギリシャ褐炭の町に迫る2026年閉鎖 「デトロイト化」不安と再エネ転換
ギリシャ北部・西マケドニア州の工業都市プトレマイダで、褐炭(リグナイト)火力発電の時代が終わりに近づいています。最後の褐炭火力2基が来年(2026年)に閉鎖予定とされ、地域経済の柱を失う不安が広がっています。
「若者が戻らない」—プトレマイダ市長が語る危機感
プトレマイダのパナギオティス・プラケンタス市長は、最後の褐炭火力が止まった後の街と周辺地域の行方を懸念しています。取材に対し、「学びに出た若者の8割が戻らない」と述べ、産業の衰退で打撃を受けた米国の自動車都市デトロイトになぞらえて、地域が「デトロイトのようになる」リスクを口にしました。
西マケドニアは長年、ギリシャの褐炭採掘と褐炭火力発電の中心地として、電力供給と雇用を支えてきました。しかし発電所の閉鎖が相次ぐなかで、市長は「失われる仕事が、別の仕事に置き換わっていない」とし、国内でも失業率が高い地域の状況がさらに厳しくなると見ています。
褐炭から再生可能エネルギーへ—「大転換」の現場
今回の動きは、汚染負荷が高いとされる褐炭から離れ、再生可能エネルギーへ移る「大転換」の一部です。報道によれば、最後の2つの褐炭プラントは2026年に閉鎖され、うちプトレマイダの施設は天然ガスで稼働する形へ転換される予定とされています。
一方、近隣のアギオス・ディミトリオスでは、煙突を見上げながら、職を失う見通しの男性たちがコーヒーを飲んでいたと伝えられています。同地の発電所は2026年5月に閉鎖する予定です。
「褐炭単一経済」は祝福でもあり、呪いでもあった
現場の声として、労働者の一人は褐炭依存の構造を次のように表現しました。
- 長年、多くの人に仕事を与え、地域を支えてきた
- 同時に、地域経済の依存度が高すぎて「明日がない」感覚を生んでいる
産業の集中は効率を生む一方、転換局面では痛みも集中しやすい——その典型として映ります。
約50億ユーロ投資の約束と、地元の「見えない」実感
電力会社のPublic Power Company(PPC)は、この地域で今後3年間に50億ユーロ超を投じ、太陽光パネルの大規模設備、データセンター、エネルギー貯蔵設備などを進めると約束しているとされます。
ただし、地元議会のイリアス・テンツォグリディス議長は、そうしたプロジェクトの具体的な進展が見えないとして、褐炭からの撤退を「残酷な脱褐炭化」と批判したと伝えられています。
閉鎖まで残り約1年—問われる「雇用の時間差」を埋める手立て
2025年末時点で見えているのは、閉鎖(2026年)という期限が明確である一方、代替産業による雇用が住民の実感として十分に立ち上がっていない、というギャップです。再生可能エネルギーやデータ関連投資が進むとしても、
- 既存の労働者が移れる仕事か(技能・賃金・勤務地)
- 閉鎖のタイミングに間に合うか
- 若者が戻る理由を作れるか
といった点が、地域の将来像を左右しそうです。褐炭の煙突が見える風景が消えていくのと同じ速度で、次の生活の輪郭も立ち上がるのか。西マケドニアは、その難題の「現場」として注目されています。
Reference(s):
Greece's coal heartland fears decline as lignite plants near closure
cgtn.com








