イエメン政府、資源州ハドラマウト奪還と発表 STC撤退、サウジ支援作戦
イエメンの国際的に承認された政府は、石油資源を抱える南東部ハドラマウト州を「完全に掌握した」と発表しました。分離独立を掲げる南部暫定評議会(STC)系勢力が撤退し、サウジアラビアの支援を受けた軍事作戦が転機になったとしています。
何が起きたのか:政府は「全拠点を奪還」と説明
政府系のサバ通信によると、イエメン大統領評議会(PLC)のラシャド・アルアリミ議長は現地時間1月3日、治安部隊に対し、国家機関の確保と公私財産の保護を命じたとされます。政府軍が州内の軍・治安関連施設をすべて再掌握した、というのが政府側の主張です。
焦点の港湾都市ムカッラ:空爆下でSTCが後退
軍当局者の話として、政府軍は州都ムカッラ(主要港)に進入し、STC側がサウジの継続的な空爆を受けて撤退したと伝えられました。政府軍は国家機関の管理下への移行を進めたとしています。
現地の空気:巡回の一方で「混乱と略奪」も
住民の証言として、政府兵がムカッラ市街を巡回する様子が伝えられました。一方、混乱の中で、アルラヤン空港を含む一部の政府施設が略奪されたという情報もあり、現地の統治回復が課題として浮かびます。
ハドラマウト州のサレム・アルカンバシ知事は、施設は「ハドラマウトの人々のものだ」として、住民に公私の財産を守るよう呼びかけたと報じられています。
第2の都市セイユーンも再掌握、アルマフラでも撤収報道
軍筋によると、政府軍はハドラマウト第2の都市セイユーンも奪還しました。セイユーン空港など要所からSTC側が退き、政府軍が「完全掌握」を確保した、という構図です。
さらに東側のアルマフラ州では、地元メディアが「戦闘なしでSTC部隊が政府機関から撤収した」と報道。サバ通信は、州都の空港や大統領宮殿からもSTC系部隊が引き揚げ、PLC議長が州知事に秩序回復を指示したと伝えました。
STCの反応:「戦闘停止命令」から「南部対話」へ
STCの軍関係者は、ハドラマウトでの戦闘停止命令が出たと述べた一方、ハドラマウトやアルマフラからの撤退についてSTCとしての公式声明は出ていないとされています。
ただし、現地時間1月4日夜の声明として、STCはサウジアラビアが「南部対話会議」を後援するよう招請したことを歓迎し、政治課題の解決には対話が「唯一、理性的で現実的な手段」だと位置づけました。
なぜハドラマウトが重要なのか:資源・港・国境線
ハドラマウトは、イエメン国内に残るエネルギー資源が集積する地域の一つで、港湾都市ムカッラを抱えます。報道では、サウジアラビアが国境近接性も含めて戦略上センシティブな地域と見ている点が、今回の軍事作戦の背景として挙げられています。
衝突の引き金:STCの「2年移行期間」と独立住民投票構想
今回の衝突は、政府側が現地時間1月3日に攻勢を開始し、サウジ支援部隊がハドラマウトへ前進した流れの中で起きたとされます。サウジの戦闘機による支援空爆が強まり、地元情報として死者20人超、負傷者多数が出たとも報じられました。
同時期にSTCは、南部イエメンを運営する「2年の移行期間」を宣言し、その後に独立を問う住民投票を行う構想を掲げたと伝えられています。政府とSTCの緊張は先月、STCがハドラマウトとアルマフラの広い範囲を掌握したことを機に一段と高まった、というのが報道の整理です。
長引く内戦の中で:2014年から続く“多層化した対立”
イエメンでは2014年にフーシ派が首都サヌアを掌握し、翌年にサウジ主導の軍事介入が始まって以降、戦闘が長期化してきました。2017年に発足したUAE支援のSTCは南部分離を目指し、2022年にPLCに加わった後も、権力配分や領域・資源の管理をめぐって政府との不和が続いているとされます。
- 短期的な焦点:ムカッラや空港など要所の治安回復と、略奪・報復の連鎖を防げるか
- 中期的な焦点:サウジ後援の「南部対話」が、停戦管理と政治プロセスに接続できるか
- 長期的な焦点:資源と港湾を抱える地域統治を、誰がどのルールで担うのか
軍事的な「奪還」が報じられる一方で、統治の回復には治安・行政・地域社会の合意形成が同時に求められます。週明け以降、現地の秩序回復と対話の枠組みがどこまで具体化するかが注目されます。
Reference(s):
Yemeni govt says its forces retake oil-rich Hadramout from separatists
cgtn.com








