トランプ氏、新START失効も示唆 米ロ最後の核軍縮条約が岐路
米ロ間で最後に残る核軍縮条約「新START(New START)」が、2026年2月5日に期限を迎える見通しの中、トランプ米大統領が「失効もあり得る」と受け取れる発言をしたと米紙が伝えました。核戦力に法的な上限がなくなる可能性があり、わずか1カ月を切ったタイミングで国際社会の関心が高まっています。
何が報じられた? トランプ氏「失効するなら、それはそれ」
米紙ニューヨーク・タイムズは今週、トランプ米大統領がインタビューで、新STARTについて「If it expires, it expires(失効するなら、それはそれだ)」と述べたと報じました。ロシア側が提案している「条約の上限を(少なくとも自主的に)維持する」案には乗らない可能性を示唆した形です。
同時にトランプ氏は、「より良い合意(better agreement)」を目指す考えにも言及し、さらに「他のプレーヤーも何者か入れたい(a couple of other players)」と述べたとされています。
新STARTとは:核弾頭と“運搬手段”に上限を設ける枠組み
新STARTは2011年に発効し、米国とロシアの戦略核戦力に関して、主に次の上限を設けるために設計された条約です。
- 配備戦略核弾頭:各1,550発まで
- 配備済み運搬手段:ミサイル、爆撃機、潜水艦などを各700まで
報道によれば、この条約が失効すれば、米国とロシアという世界最大級の核大国が、約半世紀ぶりに「拘束力のある上限」なしの状態になる可能性があります。
「より良い合意」と「他のプレーヤー」──再交渉の難しさ
トランプ氏は「より良い合意」を掲げつつ、対象を広げる可能性にも触れました。ここで焦点になるのは、期限まで残り時間が限られる中で、枠組みを作り直す交渉が間に合うのかという点です。
また、いまある条約が失効した場合、「新しい合意が成立するまでの“空白期間”」をどう扱うのかも重要になります。条約は単に数字の上限を決めるだけでなく、相互の見通し(相手がどの程度配備しているかの把握)を支える役割もあるためです。
ここまでの経緯:10年+5年の延長、そして最終期限へ
新STARTは当初10年間の枠組みとして始まりましたが、報道では、2021年にロシアのプーチン大統領と、当時の米大統領ジョー・バイデン氏が5年間の延長で合意したとされています。これは条約の規定上、認められる最後の延長でした。
さらに報道によると、プーチン大統領は2025年9月、米国も同様に応じるなら、ロシアとして条約の内容を自主的に守り続ける可能性を提案したとされています。
今後の焦点:2月5日までに何が起きるか
期限が迫る中で、今後の注目点は大きく分けて次の通りです。
- 失効を回避する動きが出るのか:何らかの形で上限を維持するのか、それとも条約の枠組みを終えるのか
- 「自主的な遵守」は現実的か:相互に守るとしても、拘束力の弱さをどう補うのか
- 「他のプレーヤー」を含める設計:対象拡大を目指す場合、誰をどう関与させるのか、期限内に道筋をつけられるのか
条約の期限は一つの“日付”ですが、そこで終わるのは紙の上の約束だけではありません。互いの意図を読み違えないための足場が残るのかどうか――静かな争点が、いま急速に現実味を帯びています。
Reference(s):
Trump signals he may let last U.S.-Russia nuclear treaty expire
cgtn.com








