ベルギーの首都ブリュッセルで現在開催中の「ブリュッセルモーターショー」は、参加ブランド数が過去最多となり、自動車各社が“EUの電動化移行の見通し”を改めて意識する場になっています。需要が揺れる局面で、規制の方向性が投資判断を左右するためです。
過去最多の参加、世界初公開は11台
今年のブリュッセルモーターショーには世界各地から67メーカーが出展し、11台がグローバルデビュー(世界初公開)を飾っています。展示会は新車の話題づくりだけでなく、販売現場の空気や消費者心理を映す「温度計」としても注目されます。
EUの「2035年」方針に揺らぎ:欧州委が緩和案
欧州では内燃機関(ガソリン車など)からの転換を進めてきましたが、足元では不確実性が広がっています。欧州委員会は、EU域内で2035年から内燃機関を禁じるという当初計画を見直す提案を提示し、排出量を「90%削減」へと軸足を移す案を示しています。
この場合、ハイブリッド車やレンジエクステンダー(発電用に内燃機関を使い、走行自体は主にモーターで行う仕組み)などに余地が残る可能性があります。背景には、EV(電気自動車)需要への不安があり、移行期にメーカーを保護する狙いがあるとされています。
何が論点?“技術の一本化”か“選択肢の確保”か
- メーカー側:規制が揺れると、工場投資・部品調達・車種戦略を組み替える必要が出ます。
- 消費者側:充電環境や価格、航続距離の不安が残る中で「つなぎの選択肢」を求める声もあります。
- 政策側:排出削減を急ぐほど、実装の現実(需要・インフラ・雇用)との調整が難しくなります。
日産が示す「中間解」:EV走行+内燃機関で発電
会場では、日産がキャシュカイ(Qashqai)などを紹介しています。車輪を動かすのは電気モーターで、内燃機関は主にバッテリーへ電力を供給する役割を担うタイプだとされています。
日産ベネルクスのPRマネージャー、メルビン・コイター氏はCGTNの取材に対し、「まだEVに切り替える準備ができていない顧客にとって“その間”の解決策になる」と述べました。
EV販売は増加、それでも「規制後退」が需要を鈍らせる懸念
EUでのEV販売は2025年に推計で約30%増えた一方、規制が弱まれば需要の勢いが落ちるとの見方も出ています。クリーン輸送・エネルギー分野の団体「Transport & Environment」の自動車部門ディレクター、リュシアン・マチュー氏は、規制の“あいまいさ”が投資を分散させると指摘します。
同氏は「明確な技術の軸がなくなれば、投資が電動から内燃機関やハイブリッドへと移り、電動車に必要な投資・規模・集中が損なわれる」と述べています。
それでも「純EV」を貫くブランドも:移行期の二極化
一方で、会場には純EVの投入を継続するブランドも少なくありません。電動化を前提に設計された車台(プラットフォーム)やソフトウェア開発は、長期戦の投資になりやすく、規制の方向性が定まるほど企業戦略も読みやすくなります。
ブリュッセルの展示会場では、「いま売れる選択肢」と「将来に向けた集中投資」が同時に並び、欧州の電動化が“過渡期の現実”に入っていることが静かに伝わってきます。
Reference(s):
Automakers at Brussels Motor Show seek EU electric transition clarity
cgtn.com








