トランプ氏の「NATOは前線に出なかった」発言に伊・ノルウェー首相が反発
2026年1月、米国のドナルド・トランプ大統領がアフガニスタン戦争をめぐり「米国は非米国の兵士を必要としなかった」「(NATO部隊は)前線から少し下がっていた」といった趣旨の発言をしたことに対し、イタリアのジョルジャ・メローニ首相とノルウェーのヨーナス・ガール・ストーレ首相が相次いで批判しました。戦場での貢献の“記憶”が、同盟の信頼と結びつく形で揺れています。
何があった? 発言と反発のポイント
トランプ大統領は1月22日(木)、Fox Businessの番組で、アフガニスタン戦争において非米国の兵士は前線に出ていなかった、と受け取れる発言をしました。
これを受け、1月24日(土)、メローニ首相は声明で、NATOが2001年9月11日のテロ後に「史上初めて、そして唯一」第5条(集団防衛)を発動した点に触れ、米国への連帯として各国が対応した経緯を強調しました。
メローニ首相「イタリアは“疑いようのない代償”を払った」
声明によると、イタリアは同盟国とともに速やかに対応し、数千人規模の部隊を派遣。国際任務の中でも重要な作戦地域の一つとされる「Regional Command West」の責任を全面的に担ったとしています。
またメローニ首相は、約20年にわたる戦闘作戦・治安任務・アフガン部隊の訓練事業などで、イタリア側に53人の兵士の死亡と700人超の負傷者が出たと述べました。
- NATO第5条の発動(9.11後、史上初で唯一)
- 数千人規模の派遣と、Regional Command Westの指揮責任
- 死亡53人、負傷700人超という人的損失
そのうえで、アフガニスタンにおけるNATO各国の貢献を「矮小化する」ような発言は容認できず、とりわけ同盟国から出る場合はなおさらだ、という立場を示しました。
ストーレ首相「真実と敬意で語られるべきだ」
ノルウェーのストーレ首相も、トランプ大統領の発言を「無礼(disrespectful)」だとして批判しました。ストーレ首相はFacebookに投稿した声明で、戦死者や遺族、そしてアフガニスタンで任務に就いた人々は「真実と敬意」をもって語られるにふさわしい、と述べています。
また、退役軍人や遺族が強く反応するのは理解できるとも記しました。
なぜ今、言葉がここまで重くなるのか
今回の応酬は、単なる「評価の違い」にとどまりません。同盟関係では、作戦の成果や負担の分担だけでなく、犠牲の記憶をどう共有するかが信頼の土台になります。
メローニ首相の声明が第5条の発動を前面に出したのは、アフガニスタン任務が「自国のため」だけでなく「同盟の約束」として遂行された、という位置づけを改めて示す意図があったと読めます。ストーレ首相が強調したのも、政治的な評価以前に、当事者への敬意という“最低限の合意”でした。
今後の見どころ:同盟の温度差は埋まるか
現時点で示されているのは、発言への強い反発と、各国が自らの貢献と犠牲を具体的に言語化し始めた、という事実です。今後は、
- 米側から追加説明や言い回しの修正が出るか
- NATO内で「貢献の評価」をどう共有していくか
- 退役軍人・遺族への向き合い方が政治議論にどう影響するか
といった点が、同盟関係の空気を左右しそうです。
Reference(s):
Italian, Norwegian PMs slam Trump over NATO Afghanistan comment
cgtn.com








