NYC保健局、WHOの感染症対応ネットワークGOARNに参加 米国離脱後の動き
米国が世界保健機関(WHO)から離脱した後、ニューヨーク市(NYC)保健局がWHOの「世界感染症アウトブレイク警報・対応ネットワーク(GOARN)」に参加しました。自治体レベルでの参加は米国内で初めてとされ、国境を越える感染症リスクにどう備えるかが改めて注目されています。
NYCが参加したGOARNとは
NYC保健局は木曜日に発表した声明で、GOARNへの参加を明らかにしました。GOARNは、急性の公衆衛生上の事象(感染症の流行など)に対し、専門人材や資源の派遣を含む形で国際協力を行うネットワークです。
NYC保健局によると、参加によって「360を超える機関・組織からなるグローバルネットワーク」にアクセスでき、影響を受けた国・地域へのスタッフ派遣やリソース提供を通じた対応に加わりやすくなるといいます。
米国のWHO離脱を受けた“自治体の選択”
今回の動きは、ドナルド・トランプ大統領がWHOからの離脱を先月完了したことを受けたものです。離脱は、2025年1月(就任初日)に署名された大統領令から1年を経て実行されたとされています。
NYC保健局は、カリフォルニア州とイリノイ州の保健当局に続く形で参加しました。州に続いて、NYCが「米国で初めて参加した市(自治体)保健当局」と位置づけられた点が、今回のニュースのポイントです。
「感染症に国境はない」—NYC保健当局の狙い
NYCの保健当局トップ(代行)で主任医療責任者でもあるミシェル・モース氏は、「感染症に国境はなく、ニューヨーカーを守る情報や資源もまた、国境に縛られるべきではない」との趣旨を述べました。
都市は人の移動と経済活動が集中するため、感染症の早期把握と情報共有はとくに重要になりがちです。GOARN参加は、国内の制度とは別の回線で国際的な知見や連携に触れる“窓口”を確保する動きとも読めます。
米政権は「再加入やオブザーバー参加の予定なし」
米政権は、WHOへの再加入やオブザーバーとしての参加は予定していないとし、今後は疾病サーベイランス(感染状況の監視)などの公衆衛生分野で、他の国・地域と「直接協力」を進める方針だとされています。
資金と制度の影響:専門家の懸念も
米国の離脱については、グローバルヘルスや人権の専門家から、国際的な疾病監視や緊急対応の仕組みが弱まり得るという懸念が出ています。
WHOによれば、米国は伝統的に最大級の資金拠出国で、全体の約18%を負担してきたとされます。さらに創設メンバーとして、天然痘の根絶や、ポリオ、HIV、エボラ、インフルエンザなどへの対策で重要な役割を果たしてきたとも説明されています。
未払い拠出金をめぐる論点
WHOは、未払いの米国拠出金が約2億6000万ドルに上ると推計しています。一方、米側は「未払いが離脱の法的条件になる」という主張を退けているとされ、制度面・財政面の整理が課題として残ります。
今後の議論の場:2月の理事会と5月の総会へ
WHOの執行理事会では、こうした離脱に伴う論点が議題になる見通しで、定例会合は2月2日から始まっています。また、年次の世界保健総会でも、2026年5月の会合で議論される予定です。
NYCのGOARN参加は、国レベルの方針転換があっても、都市や州が実務の連携ルートを別途つくり得ることを示す事例になりました。感染症対策が「外交」だけでなく「都市運営」でもあることを、静かに浮かび上がらせています。
Reference(s):
New York City joins WHO health network after U.S. withdrawal
cgtn.com








