ミュンヘン安全保障会議が開幕、米欧の溝と同盟の行方が焦点に
【リード】2026年2月13日(金)に開幕した第62回ミュンヘン安全保障会議(MSC)は、米欧関係の「岐路」ともいえる空気の中で始まりました。関税、欧州防衛、グリーンランドをめぐる摩擦が重なり、同盟の前提が揺れていることが、会議の主題として強く意識されています。
開幕の空気感:「不安定さ」が同時多発
MSCには各国・各地域の政策担当者が集まり、地域・世界の安全保障や国際秩序について議論します。主催者側は今回の会議について、60年以上の歴史の中でも「同時に起きている紛争・危機が最も多い局面」だという認識を示しました。
冒頭演説で、MSCのヴォルフガング・イシンガー会長は、会議が「不安が高まる」時期に開かれていると指摘。特に米欧関係について「転換点(inflection point)にある」と述べ、米国が欧州の同盟国を引き続き“パートナー”と見ているのか、という問いを投げかけました。
米欧の溝を深める3つの論点
今回のMSCで、米欧の緊張を映す論点として挙げられているのは、主に次の3点です。
- 米国の懲罰的関税:主要な貿易相手に対する関税が維持されていることが、経済面からも同盟内の摩擦を増幅させています。
- 欧州防衛の枠組みをめぐる対立:欧州の防衛負担や体制をどう設計するかをめぐり、見解の違いが続いています。
- グリーンランドをめぐる新たな摩擦:領域・安全保障上の関心が交錯し、同盟内の緊張要因として言及されています。
独首相「もはや当然ではない」—同盟の前提を問い直す発言
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、欧州と米国の間に「分断(divide)」が生まれていると述べました。そのうえで、米国のJDバンス副大統領が昨年のMSCで同趣旨の点を公に指摘していたことにも触れ、「大西洋同盟(トランスアトランティック・パートナーシップ)は、もはや当然のものとして受け止められない」と警鐘を鳴らしました。
年次報告書が示す焦点:「国際制度の弱体化」と米外交の再調整
MSCに先立って公表された年次報告書は、国際機関を含む「国際制度の弱体化」に注意を促したとされています。また、米国の外交政策の「再調整(recalibration)」が新たな力学を生み、その全体的な影響が「いまになって見え始めている」と警告しました。
つまり、目先の対立点(関税や防衛分担)だけでなく、国際秩序を支える仕組みそのものの持続性が、議題の底流にあるという構図です。
会期は3日間、注目テーマは「関係修復」より「再定義」へ
今年のMSCは3日間の開催で、約60人の国家・政府の首脳に加え、外相・国防相ら約100人が参加する見通しだとされています。主要テーマとして挙げられているのは、次の領域です。
- トランスアトランティック関係(米欧関係)の将来
- 多国間主義(複数国・複数地域で協調して課題に向き合う枠組み)
- グローバル秩序
- 地域紛争・危機
会議のトーンは「元に戻す」よりも、前提が変わった世界で同盟をどう再定義するかに寄っているように見えます。今週末にかけて、発言の積み重ねがどの方向性を形作るのかが、次の焦点になりそうです。
用語ミニ解説
- 多国間主義:一国主導ではなく、国際機関や複数国・複数地域の協調でルールや解決策をつくる考え方です。
- 国際秩序:安全保障・経済・外交の「当たり前」を支えるルール、同盟、制度の総体を指します。
Reference(s):
Munich Security Conference kicks off with transatlantic rifts in focus
cgtn.com








