ミュンヘン会議で欧州首脳が「米国第一」に反発、信頼再建を訴え
欧州と米国の関係が揺れるなか、ドイツ・ミュンヘンで開かれている安全保障会議で、欧州の首脳がトランプ米大統領の「米国第一(America First)」路線に相次いで異議を唱えました。防衛負担の分担、通商、気候・保健分野まで、同盟の“前提”が問われています。
「新しい大西洋横断パートナーシップ」を求めたメルツ独首相
報道によると、2月13日(現地時間)に始まった年次のミュンヘン安全保障会議には60人以上の指導者が参加。ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は演説で「新しい大西洋横断パートナーシップ」を訴え、NATO(北大西洋条約機構)の価値を改めて強調しました。
メルツ首相は「NATOの一員であることは欧州の競争上の優位であるだけでなく、米国の競争上の優位でもある」と述べ、「大西洋を挟んだ信頼を修復し、再び活性化させよう」と呼びかけました。さらに英語に切り替え、「大国間競争の時代、米国でさえ単独では十分に強くはなれない」とも語ったとされています。
通商・気候・保健でも“溝”を意識
メルツ首相は、欧州と米国の間に「溝が開いている」と述べ、1年前にJ.D.バンス米副大統領がその点を指摘したことは「正しかった」と言及しました。そのうえで、関税や保護主義には与せず自由貿易を重視すること、気候合意や世界保健機関(WHO)に関わり続けることを挙げ、「地球規模の課題は協力でしか解けない」との立場を示しました。
マクロン仏大統領「強い欧州を」——批判されがちな欧州像に反論
フランスのエマニュエル・マクロン大統領も「強い欧州」を呼びかけ、欧州が過小評価されたり、時に厳しく批判されたりしてきたという認識を示しました。
マクロン大統領は、欧州が「老いて遅く、分断された構造」と見なされたり、「野蛮な移民に脅かされる社会」と表現されたり、さらには「言論の自由がない抑圧的な大陸」とさえ言われることがあると指摘。これに対し欧州は、対立と戦争の歴史を経て、経済的相互依存を通じて平和を制度化してきた「自由で主権ある国家の、独自の政治的構築物」だと述べました。
そのうえで「欧州は地政学的な力になることを学ばねばならない」と語り、対外環境の厳しさを前に、統合の“意義”だけでなく“実装”が問われていることをにじませました。
スターマー英首相(きょう14日演説予定)「欧州は眠れる巨人」
英国のキア・スターマー首相は2月14日(現地時間)に演説し、欧州は「眠れる巨人」であり、防衛面で米国への依存を減らす必要があると訴える見通しだと、首相府が事前に説明しました。
ただし、目指すのは米国の撤退を前提にした自立ではなく、「より大きな負担分担に応え、これまで有効に機能してきた関係を作り直す」形の欧州安全保障ビジョンだとされています。対立の演出ではなく、同盟の再設計を意図したメッセージと言えます。
なぜ今、この議論が先鋭化しているのか
今回の会議は、欧米関係が緊張しやすい局面で開かれています。トランプ大統領がグリーンランドの「引き取り(take over)」に言及し、欧州諸国を「荒廃(decaying)」「弱い(weak)」と批判したことなどが、欧州側の危機感を強めてきました。
会議の主要議題の一つは、欧州のNATO加盟国が防衛予算を引き上げる取り組みです。トランプ大統領が「欧州は自らの安全保障に責任を持つべきだ」と迫るなか、欧州側はコミットメント(責任ある関与)と同盟の合理性を改めて説明し、同時に負担分担の現実的な道筋を示そうとしています。
ポイントを整理:会場で交錯した3つの論点
- NATOと抑止:同盟は誰の利益なのか、負担分担をどう更新するのか
- 経済・ルール:関税・保護主義か、自由貿易か——安全保障と一体化する通商政策
- 地球規模課題:気候合意やWHOなど、多国間枠組みを維持する意味
1年前には、バンス副大統領が移民や言論の自由をめぐる欧州の政策をこの会議で批判し、欧州の同盟国に衝撃を与えたとされています。2026年の会場では、その余波も残るなかで、欧州側が「反論」だけでなく「次の設計図」を提示できるかが焦点になりそうです。
(AFPなどの報道をもとに作成)
Reference(s):
European leaders push back on Trump's America First policy in Munich
cgtn.com








