米国の最高裁判断を受けた関税方針の揺れが、EU(欧州連合)との「昨年(2025年)の貿易合意」を直撃しています。欧州委員会は2026年2月23日までに、米国に対し合意内容の順守と、今後の措置についての「完全な明確性」を求めました。
何が起きたのか:最高裁判断の後、米国が一律関税を再設定
報道によると、米国の最高裁がドナルド・トランプ大統領の「世界的な関税(グローバル関税)」を覆した後、同大統領は一時的な一律関税を発表しました。
- 最高裁が関税を差し止め(先週金曜日)
- 米大統領が一律10%の関税を表明
- その翌日に15%へ引き上げ
EU側は、この動きが昨年のEU・米国間の取り決めと整合するのかを問題視しています。
EUの主張:「合意は合意」—想定外の引き上げは認められない
欧州委員会は、昨年の共同声明で掲げた「公正で、バランスが取れ、相互に利益となる」関係の実現に、現在の状況は資さないと指摘しました。強い言い回しで「A deal is a deal(合意は合意)」とし、関税の予見可能性が失われることが市場の信認を損ねるとも述べています。
このトーンは、最高裁判断直後に「判断を精査し、対話を続ける」としていた時点よりも、明らかに踏み込んだものだとされています。
昨年(2025年)のEU・米国貿易合意の骨子
入力情報によれば、昨年の合意では大枠として次のような整理がされていました。
- EU産品の多くに対する米国の関税率は15%(ただし鉄鋼など一部は別の分野別関税の対象)
- 航空機やスペアパーツなど一部の品目は関税ゼロ
- EUは多くの米国製品について輸入関税を撤廃し、報復関税の引き上げ方針も撤回
欧州委員会は今回、「EU製品は、合意済みの明確で包括的な上限を超えて関税が引き上げられない、最も競争力のある扱いを受け続けるべきだ」と主張しています。
水面下の協議:EU通商担当が米側高官と協議
欧州委員会によると、EUのマロシュ・シェフチョビッチ通商担当委員は土曜日、米国通商代表部(USTR)のジェイミソン・グリア代表、商務長官のハワード・ラトニック氏とこの問題を協議しました。
ただ、欧州委員会は「米国が次に何をするのか」について、改めて全面的な説明を求めており、実務協議と政治判断の間に緊張感が漂います。
なぜ今重要か:関税の“不確実性”が市場心理を揺らす
関税率そのものだけでなく、短期間で条件が変わり得るという不確実性は、企業の価格設定、調達、投資判断に直結します。欧州委員会が「予測不能な関税は混乱を招き、世界市場の信頼を損ねる」と強調した背景には、合意を土台にした供給網・取引の安定が崩れることへの警戒があるとみられます。
今後の焦点:合意の上限15%が守られるのか
- 米国が新たな一律関税を、昨年合意の枠内でどう位置づけるのか
- 対象品目(航空機部品などの例外扱い)が維持されるのか
- EUが「報復を撤回した」前提が崩れた場合、再び対抗措置の議論が出るのか
大西洋を挟んだ貿易のルールが、司法判断と政治判断の間でどう再構築されるのか。2026年の市場は、その“説明の明確さ”を一段と厳しく見ていくことになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








