イタリア代表のW杯落選がもたらす「15億ユーロ」の損失。サッカーの危機は経済へ波及 video poster
2週間後に開幕を控えたFIFAワールドカップ。しかし、かつての強豪イタリアが再び本大会への切符を逃したことで、スポーツの枠を超えた深刻な経済的打撃が懸念されています。
4度の優勝経験を持つイタリア代表(アズーリ)ですが、予選でのボスニア・ヘルツェゴビナに劇的なペナルティシュート戦で敗れ、再び不在となることが決まりました。この結果はファンに絶望を与えただけでなく、国家経済にとっても大きな損失となることが予測されています。
ピッチの外で起きている「経済的損失」
イタリアの有力紙『ラ・レプブリカ』が引用したOpen Economics社の調査によると、今回のW杯落選による経済的損失は、約15億ユーロ(約2,500億円)にのぼると推定されています。また、これに伴い約4,000人の雇用が失われる可能性も指摘されています。
具体的に影響が出るのは、以下のような分野です:
- 直接的な収益:チケット販売、グッズ販売、テレビ放映権、スポンサー料、および大会賞金。
- 周辺産業:ファンパークやバー、パブリックビューイングなどの集客減少に伴う、観光業、飲食業、広告業への波及。
また、ルイス大学のミケーレ・コスタビレ教授は、数値化できない「無形の価値」へのダメージについても言及しています。世界トップレベルのコミュニティに属しているという実感や、国家としての自尊心、イメージといった要素が損なわれることは、長期的な損失になると分析しています。
なぜ強豪イタリアは衰退したのか
イタリアがW杯への出場権を3大会連続で逃したという事実は、国内サッカー界に根深い構造的な問題があることを示唆しています。
その一因として、クラブチームの優先順位と代表チームのバランスの崩壊が挙げられます。クラブ側が、代表への貢献よりも「安価で即戦力となる外国人選手」を優先して獲得する傾向が強まり、結果として国内の才能育成や代表チームの強化が後回しにされてきたという指摘があります。
こうした状況を打破するため、今月6月にはイタリアサッカー連盟の新会長選挙が行われる予定です。新たなリーダーシップのもと、若手育成と長期的な改革に着手できるかどうかに、多くの期待が寄せられています。
変わりゆく若者たちの「ヒーロー」
サッカーの低迷は、次世代の価値観にも影響を与えています。ローマのDFアカデミーに所属する若手選手たちは、イタリア代表が世界最大の舞台で戦う姿を一度も見たことがない世代です。
その結果、若者たちの憧れの対象はサッカー以外のスポーツへと移りつつあります。例えば、テニスのヤニック・シナーや、フォーミュラ1(F1)のキミ・アントネッリといった、異なる分野で世界をリードするアイコンに注目が集まっているといいます。
2014年以来、世界舞台から遠ざかっているアズーリ。再びその姿が見られるのは、早くとも2030年になります。スポーツの情熱が経済を動かし、人々の誇りを形作るイタリアにとって、この空白期間をどう埋めるかが今後の大きな課題となるでしょう。
Reference(s):
World Cup absence hits Italy – on the pitch and in the economy
cgtn.com