中国本土のICTインフラが新段階へ:5Gの普及から「レジリエンス」と6Gの検証へ
2026年の「世界電気通信および情報社会の日」を迎え、中国本土のICT(情報通信技術)セクターは大きな転換点を迎えています。今年度のテーマである「デジタル・ライフライン:つながる世界におけるレジリエンス(回復力)の強化」が示す通り、インフラ整備の方向性が大きく変化しているためです。
これまで数年間にわたり急速に進められてきたネットワークの量的拡大は一つの区切りを迎え、現在は、公共サービスや産業のデジタル化、そして緊急時対応システムを支える「より強靭で知的なインフラ」への移行が進んでいます。
5Gの普及とデジタル化の現状
中国工業情報化部(MIIT)が発表した2026年3月末時点のデータによると、通信インフラの整備は極めて高い水準に達しています。特に5Gの普及状況は目覚ましく、以下のような数字に表れています。
- 5G基地局数: 495.8万局(2026年第1四半期だけで12万局が増加)
- 5G加入者数: 12.54億人(全携帯電話ユーザーの68.3%が利用)
- ギガビットブロードバンド加入者数: 2.49億人(固定ブロードバンドユーザーの35.8%)
- モバイルIoT(モノのインターネット)接続数: 29.48億接続
また、2026年第1四半期のモバイルインターネットトラフィックは1044億GBに達し、前年同期比で19.1%増加しました。これは、製造業、輸送、物流、そして消費者サービスといったあらゆる分野で、デジタル技術の採用が日常的に浸透していることを示唆しています。
「つながる」から「支える」インフラへ
現在の中国本土におけるICT戦略は、単に「どこでもつながる」状態を作ることから、その接続をいかに社会の安定に結びつけるかというステージへ移行しています。具体的には、以下のような領域での活用が重点的に進められています。
- 公共サービスの高度化: 行政や医療などのサービスをより効率的に提供する基盤整備。
- 産業のデジタル化: 工場や物流網の知能化による生産性の向上。
- 緊急対応システムの構築: 災害時などの危機管理における通信の安定性確保。
これは、通信網を単なる便利なツールではなく、社会を維持するための不可欠な「ライフライン」として捉え直し、障害に対する耐性や回復力を高めるという視点への転換を意味しています。
次世代通信「6G」への足がかり
5Gが成熟期に入る一方で、視線はすでに次世代の6Gへと向けられています。2026年4月に南京で開催された「世界6G技術・産業エコシステム会議」では、紫金山実験室(Purple Mountain Laboratories)が、中国本土初となる「pre-6G統合通信ネットワークインフラ」を公開しました。
これにより、6Gは理論的な研究からシステムレベルでの検証段階へと進みつつあります。通信速度の向上のみならず、どのような新しい価値を社会にもたらすのか、その実証実験が加速しています。
Reference(s):
cgtn.com

