中国が7品目のレアアース輸出管理を強化 安全保障と不拡散を理由に
中国商務省は2025年12月5日(金)、サマリウムなど7種類のレアアース(希土類)について新たな輸出管理措置を発表し、即日施行しました。安全保障と国際的な不拡散義務を理由とする今回の動きは、レアアースを利用する産業や各国の政策にも影響し得る国際ニュースです。
7種類のレアアースが新たな輸出管理対象に
中国の商務省は税関総署と協力し、7種類の中・重レアアースを輸出管理の対象とすると発表しました。対象となるのは、次の元素です。
- サマリウム(samarium)
- ガドリニウム(gadolinium)
- テルビウム(terbium)
- ジスプロシウム(dysprosium)
- ルテチウム(lutetium)
- スカンジウム(scandium)
- イットリウム(yttrium)
商務省の発表によると、これら7品目に対する輸出管理措置は「即日施行」とされており、発表の段階で既に効力が生じています。
目的は国家安全保障と国際的な不拡散義務の履行
商務省の報道官は、今回のレアアース輸出管理について、国家の安全と利益をより良く守ると同時に、国際的な不拡散義務を履行することが狙いだと説明しています。
対象とされたレアアースは「軍民両用(デュアルユース)」の性格を持つとされ、防衛分野から民生のハイテク産業まで幅広い用途で利用され得る物資です。報道官は、こうした二重用途の品目に輸出管理を課すことは国際的にも一般的な慣行だと位置づけました。
対外対話と「順法貿易」を重視する姿勢
一方で中国側は、輸出管理を強化しつつも、対外的な対話と協力を続ける姿勢も強調しています。商務省の報道官は、中国が輸出管理メカニズムに関する二国間対話を通じて、対外的なコミュニケーションと協力を強めていく用意があると述べました。
そのうえで、関連国との対話を通じて、法令を順守した「コンプライアンス重視の貿易(順法貿易)」を推進したい考えを示しています。安全保障上の懸念に対応しつつ、透明性ある枠組みの中で貿易関係を維持していく方針だと見ることができます。
レアアースとは何か
レアアース(希土類)は、電気自動車のモーター、風力発電の発電機、スマートフォン、各種センサーなど、多くの先端技術製品で重要な役割を果たすことで知られる元素群です。今回対象となったサマリウムやジスプロシウムなど、中・重レアアースは、特に高性能な磁石材料などに用いられることで注目されています。
こうした背景から、レアアースの輸出や供給をめぐる政策変更は、資源そのものにとどまらず、ハイテク産業やエネルギー転換をめぐる議論とも結びつきやすいテーマとなっています。
国際社会と企業が注視すべきポイント
今回の中国によるレアアース輸出管理強化について、国際社会や関連産業が注視したいポイントを整理すると、次のようになります。
- 対象が、中・重レアアースというハイテク分野で重要な資源であること
- 理由として「国家安全保障」と「国際的な不拡散義務の履行」を明示していること
- 一方で、輸出管理メカニズムに関する二国間対話や協力の強化を打ち出していること
- 「順法貿易」をキーワードに、ルールに基づく貿易の継続に言及していること
今後、各国の政府や企業が輸出管理制度への対応や調達のあり方をどう見直すのか、また二国間対話がどのような枠組みとして具体化していくのかが、次の論点になっていきそうです。
レアアースをめぐる政策は、一見すると専門的で遠い話に思えるかもしれませんが、私たちの日常で使うデジタル機器やクリーンエネルギー技術とも深く関わるテーマです。安全保障と国際協力をどう両立させていくのか、引き続き注目していく必要があります。
Reference(s):
cgtn.com








