欧州向け最大級の洋上風力ジャケット基礎、珠海から最終便が出荷 video poster
英国スコットランド沖の洋上風力「Inch Cape(インチケープ)」向けに、欧州市場向けとして過去最大級の単体容量となるタービン用ジャケット基礎が、2026年3月11日(水)に中国本土・広東省の港湾都市、珠海で引き渡されました。エネルギー転換が進む欧州で、巨大設備をどう調達し、どう作り込むか——サプライチェーンの現在地が見える動きです。
今回出荷されたのは「ジャケット基礎」8基
引き渡されたのは、インチケープ洋上風力プロジェクト向けジャケット基礎8基です。ジャケット基礎は、海底に固定する鋼構造物で、上部に風車タワーを支える“土台”にあたります。水深や海象条件に合わせて設計され、施工精度と耐久性が要求される中核部材です。
数字でみる“規模感”:1万5000台の車に相当
- 今回の出荷重量:合計1万9500トン(約1万5000台の車の総重量に相当)
- 最も高いジャケット:高さ95.44m(約35階建ての集合住宅相当)
- 本プロジェクト向け総出荷:累計6万トン超
- 内訳:ジャケット基礎18基(付属の鋼製杭を含む)、接続用アクセサリー24セット
今回の8基は「最後の中核部材の出荷」とされており、現地での据え付け・建設工程が次の段階に進むことを示します。
製造の難しさはどこに? 企業側が語った“精度”
CNOOC Engineeringのインチケープ案件・副プロジェクトマネジャーである王騰飛氏は、複雑な構造を組み上げるための技術面について、次のように述べています。
- 油圧ホースで「欠陥ゼロ」を達成
- 閉合(組み合わせ)精度をサブミリ(1mm未満)レベルに
- 高強度鋼の溶接技術を独自開発し、初回合格率(ファーストパス率)99%超を達成
巨大構造物ほど、わずかなズレが現地施工の遅延や追加コストにつながりやすいと言われます。今回示された「サブミリ精度」や「初回合格率」は、量だけでなく品質面でも“輸送して終わりではない”ことを印象づけます。
インチケープ洋上風力とは:北海の大型計画
インチケープ洋上風力発電所は、英国のスコットランド沖、北海に位置します。計画上の総設備容量は1.08ギガワットで、全面稼働後はスコットランドの家庭の電力需要の半分をまかなう規模になるとされています。
洋上風力は、設備の大型化と建設海域の拡大が同時に進みやすい分野です。部材の製造能力、港湾の取り回し、海上輸送、現地据え付けが一本の線でつながって初めて、発電所が“電気を生む場所”になります。今回の最終便は、その線の一部が確かに前へ進んだことを示すニュースと言えそうです。
Reference(s):
Record-size offshore wind turbine jackets delivered to Europe
cgtn.com








