マカオのサム行政長官が初の施政方針演説 2025年度はイノベーションと多元化へ
2025年12月8日、中国のマカオ特別行政区のサム・ホウファイ行政長官が、2025年度財政に関する初の施政方針演説を行いました。イノベーション(革新)を軸に、経済の多元化と国家発展への一体的な参加を進める方針が示され、マカオが次の段階へ進む転換点となる内容です。
就任後初の政策演説、そのメッセージ
今回の演説は、サム行政長官の就任後初めての施政方針演説です。行政長官は、長年続く課題と新たに生じる挑戦の双方に向き合うためには、変化を正確に読み取り、科学的な方法で対応し、自ら変革を仕掛けていく姿勢が不可欠だと強調しました。
そのうえで、「マカオの現実に根ざした解決策」が重要だとし、現地の状況を踏まえながら、経済・社会の安定と新たな成長の両立を図る必要性を訴えました。
2025年度マカオ財政の4つの方向性
サム行政長官は、2025年のマカオ特別行政区の統治と発展の全体方向として、次の4点を挙げました。
- 経済の多元化を一段と進めること
- 住民の暮らし(民生)を着実に改善すること
- ガバナンスを強化し、行政の質を高めること
- 国家発展の大きな流れに積極的に統合していくこと
観光・サービスに依存しがちな経済構造から、よりバランスの取れた成長モデルへ移行していく方向性が意識されていると言えます。同時に、住民の生活水準向上と行政能力の強化を並行して進める姿勢が示されました。
「マカオの現実に根ざした解決策」とは
演説では、具体的な政策の進め方として、次のような考え方が示されました。
- マカオの実情に即した解決策を選び取ること
- 経済の基礎を安定させること
- 経済の活力を高めること
- 期待管理を強化し、社会と市場の見通しを安定させること
- 新たな発展空間を切り開いていくこと
ここでいう「期待管理」とは、政府の方針や見通しを丁寧に示すことで、企業や住民が将来をイメージしやすくし、不必要な不安や過度な楽観を避ける取り組みだと考えられます。経済の基礎を固めつつ、新しい成長機会を探るという、守りと攻めの両方を意識した設計です。
マカオと横琴の一体化:協力ゾーンがカギ
今回の施政方針演説で、とくに強調されたのがマカオと横琴の一体的な発展です。サム行政長官は、マカオと横琴の統合を重要な目標に掲げ、広東・マカオ深度協力ゾーン(Guangdong-Macao In-Depth Cooperation Zone in Hengqin)の発展を一層進める方針を示しました。
そのために、部門間や地域間をまたぐ調整メカニズムを強化し、マカオ特別行政区の発展の「新たな章」を開くことが必要だとしています。横琴との連携が、マカオにとって新しい産業や雇用、投資を呼び込む空間になるのかどうかは、今後の注目点です。
5つの重点政策分野:経済とガバナンスをどう変えるか
演説では、2025年に向けて取り組むべき5つの重点政策分野も示されました。内容は次のように整理できます。
- 経済の基礎を安定させること
- 経済活力を喚起し、成長の原動力を高めること
- 期待管理を強化し、企業や住民の信頼感と見通しを支えること
- 新たな発展空間を拡大し、将来に向けた余地をつくること
- 調整メカニズムを高め、政策の連携と実行力を強化すること
これらの重点分野は、経済政策だけでなく、行政運営のあり方そのものを問い直す内容になっています。単に財政支出を増やすのではなく、どのような仕組みや枠組みで持続的な発展を実現するかに焦点が当てられています。
住民と企業にとっての意味
今回の施政方針は、マカオの住民や企業にとって次のような意味を持つと考えられます。
- 暮らしの面では、民生改善が優先課題として掲げられたことで、雇用や社会サービスの安定に対する期待が高まります。
- ビジネスの面では、期待管理と経済基盤の安定を重視する方針により、先を見通した投資計画を立てやすくなる可能性があります。
- 地域全体としては、横琴との一体化や国家発展への統合が進むことで、マカオがどのような役割を担うのかが改めて問われる局面に入ったと言えます。
サム行政長官が掲げる「新たな時代」は、数字だけでは測れない、制度や連携の質の変化も伴うものになりそうです。
これから注目したいポイント
今回の施政方針演説を踏まえ、今後のニュースを追ううえで意識しておきたいポイントを整理しておきます。
- 経済多元化の具体策がどのタイミングで、どの分野から出てくるのか
- 横琴との協力ゾーンが、実際にどの程度マカオの新産業や雇用につながるのか
- 期待管理や調整メカニズムの強化が、行政の透明性や政策の一貫性にどう反映されるのか
2025年は、マカオ特別行政区にとって「イノベーションで新時代へ踏み出す」試金石の年になりそうです。今回示された方針が、どのような実行計画と成果へつながっていくのか、引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
Macao SAR Chief Executive Sam Hou Fai delivers 1st policy address
cgtn.com








