米関税で物価上昇懸念、約7割が「家計悪化」と回答 最新調査
トランプ大統領の通商政策として導入された関税をめぐり、米国の消費者が今後の物価上昇に強い不安を抱いていることが、最新のハリス世論調査で明らかになりました。日用品の値上がりに加え、大手小売企業の値上げや家計の節約行動が広がり、景気の先行きにも影を落としています。
約7割が「日用品はさらに高くなる」と予想
ブルームバーグの委託で実施されたハリス世論調査によると、米国の成人のうち69%が、トランプ大統領の関税によって日常的に使う品物の価格が今後さらに高くなると見ています。
調査結果からは、関税の経済効果に対する懐疑的な見方が浮かび上がります。
- 69%が「関税で日用品の値段が上がる」と回答
- 56%が「関税がなければ家計は今よりも良かった」と感じている
- 52%が「関税の潜在的な利益は、家計への負担に見合わない」と考えている
関税はしばしば産業保護や貿易交渉の手段として語られますが、この調査では、消費者がまず「生活コストの上昇」として受け止めている姿が見えてきます。
家計への打撃と景気不安
すでに値上がりを実感している人も多く、回答者のうち5人に3人が「ここ1か月だけでも日用品の価格が上がった」と答えています。半数は、2024年以降、米国経済が弱くなっていると見ており、インフレや景気後退のリスクへの不安が根強いことがうかがえます。
関税によって輸入コストが上昇すると、企業は利益を削って吸収するか、販売価格に転嫁する必要があります。今回の調査結果は、多くの家庭が「価格転嫁が進んでいる」と感じ始めていることを示していると言えます。
ウォルマートとターゲット、大手小売も値上げへ
小売大手の対応も、こうした消費者心理を裏付けるような動きになっています。
- ウォルマートは、新たな在庫の仕入れコスト上昇を受け、今後価格を引き上げていく方針を明らかにしました。
- ターゲットは、衣料品や家庭用品などの非必需品を中心に価格を見直したうえで、今週、売上見通しを下方修正しました。消費者支出が目に見えて落ち込んでいることが背景にあります。
日用品から衣料品、インテリアまで、幅広い品目を扱う大手企業が価格戦略を見直していることは、関税によるコスト増が、企業努力だけでは吸収しきれない段階に入りつつあることを示していると言えます。
節約に向かう米国の家庭:外食・娯楽・旅行を削る
経済の先行きが不透明ななかで、多くの家庭がすでに財布のひもを締め始めています。調査では、
- 60%が「すでに支出を削減している」
- さらに16%が「近く節約を始めるつもりだ」と回答
とされており、約4分の3が節約モードに入っている、または入ろうとしている計算になります。
支出を減らしている人のあいだで、どこを削っているかを聞くと、
- 7割超が「外食の回数を減らした」
- 57%が「娯楽への支出を減らした」と回答
しており、「楽しみ」に分類される支出から切り詰めている様子がうかがえます。
夏の旅行計画にも影響が出ています。調査では、今年の夏の旅行について尋ねたところ、約半数が「夏に旅行する予定」としつつも、3分の1は「昨年よりも旅行の回数を減らした」と答えました。楽しみを完全には手放さない一方で、回数や規模を抑えることで家計との折り合いをつけている姿が見えます。
関税と生活コストのバランスをどう取るか
今回のハリス世論調査からは、トランプ大統領の関税政策について、多くの米国の人々が「家計の負担増」として受け止めていることが浮き彫りになりました。
関税には、特定産業の保護や交渉力の強化など、政策的な狙いが説明されることが多くあります。一方で、調査結果が示すのは、そうした長期的な目的よりも、目の前の物価や家計のやりくりが人々の意識を大きく占めているという現実です。
物価上昇を感じながら節約を進める消費者と、コスト増を価格に反映せざるを得ない企業。その間で、関税のメリットと負担をどう分かち合うのかという問いは、今後もしばらく続きそうです。
Reference(s):
Nearly 70% U.S. consumers expect higher costs amid tariff concerns
cgtn.com








