中国の科学技術力が第14次五カ年計画で加速 R&D投資3.6兆元超に
第14次五カ年計画(2021〜25年)の期間、中国の科学技術分野がどこまで伸びているのか。2024年の最新データから、研究開発投資やイノベーション力の変化を整理します。
「技術強国」へ向けた土台が着実に強化
最近行われた木曜日の記者会見で、中国の科学技術部のイン・フージュン(Yin Hejun)部長は、過去5年間で中国の技術革新能力が着実に向上し、「技術強国」になるための基盤が連続的に強化されてきたと述べました。対象となるのは、第14次五カ年計画(2021〜25年)期間の動きです。
2024年、R&D投資は3.6兆元超に
科学技術分野への投資は、この5年間で大きく拡大しています。2024年には、社会全体の研究開発(R&D)支出が3.6兆元(約5,060億ドル)を超え、2020年と比べて48%増となりました。
- R&D支出:3.6兆元超(2024年)
- 2020年からの増加率:48%
- R&D強度(国内総生産に占めるR&D比率):2.68%でEU平均を上回る水準
- R&D人材数:世界首位
「量」だけでなく、対GDP比であるR&D強度の数字からも、中国が研究開発を国家戦略の中核に位置づけていることがうかがえます。
基礎研究の底上げと国際的な存在感
応用研究だけでなく、長期的な競争力の源泉となる基礎研究への投資も大幅に拡大しています。2024年の基礎研究予算は2,497億元(約357億ドル)に達し、2020年比で70%以上増加しました。
さらに、
- ハイレベルな国際学術誌への論文数
- 国際特許出願件数
はいずれも5年連続で世界1位となっています。研究成果を国際社会に発信し、知的財産として確保する動きが同時に進んでいることがわかります。
国家ラボと大学・企業が支える戦略的科学技術力
イン・フージュン部長は、中国の「戦略的科学技術力」が継続的に強化されている点も強調しました。国家実験室の建設が着実に進むとともに、
- 国の研究機関
- 高度な研究力を持つ大学
- 先端技術をけん引する大手テクノロジー企業
の科学研究能力が総合的に高まっているとしています。国家レベルの研究インフラと産学のプレーヤーが一体となって技術革新を押し上げる構図です。
北京・上海・粤港澳大湾区で進む地域イノベーション
地域ごとの技術革新も活発化しています。北京、上海、広東・香港・マカオ大湾区(Guangdong-Hong Kong-Macao Greater Bay Area)では、国際科学技術イノベーションセンターとしての機能が継続的に強化されてきました。
特に、深圳・香港・広州で構成されるイノベーションクラスターは、世界の上位100クラスターのランキングで1位となっています。研究機関や企業が地域をまたいで連携し、スタートアップから大企業までを含む「エコシステム」として機能しているといえます。
イノベーション力ランキングは世界10位に
中国全体のイノベーション能力を示す国際的なランキングでは、2020年の14位から2024年には10位へと順位を上げました。中国は、科学技術分野での高いレベルの自立と自強を加速し、「科学技術強国」を実現する目標を掲げています。
研究開発投資の拡大、基礎研究の強化、地域クラスターの形成、国家ラボの整備など、複数のレイヤーを同時に底上げしている点は、今後の国際経済や技術競争を考えるうえでも注目すべき流れです。
私たちが押さえておきたいポイント
今回示された数字や発言から見えてくるのは、次のような流れです。
- 研究開発投資の持続的な拡大
- 基礎研究と知的財産の重視
- 北京・上海・大湾区など地域クラスターを軸にしたイノベーション拠点づくり
- 「科学技術強国」を掲げた長期的な国家戦略
日本を含むアジアの企業や研究機関にとっても、中国の科学技術政策や投資の方向性を把握することは、協力と競争の両面で戦略を考えるうえで重要になっていきます。
第14次五カ年計画が最終盤に差し掛かる中、2025年以降にどのような科学技術戦略が打ち出されるのか。今後の発表と具体的な政策動向にも注目が集まりそうです。
Reference(s):
Science and tech sector scales new heights during 14th FYP period
cgtn.com








