中国、レアアース輸出管理後も対米貿易方針を強調 協力か対立か
中国商務省がレアアース(希土類)などの輸出管理措置を発表したのを受けて、米国との貿易をめぐる中国の基本姿勢があらためて示されました。協力と対立のどちらに向かうのか、世界経済にも影響しかねない動きです。
この記事のポイント
- 中国商務省が貿易戦争に対する一貫した立場を強調
- レアアース輸出管理は輸出禁止ではないと説明し、サプライチェーンの安定を掲げる
- 米国の制限措置に反発しつつも、対話継続と協議メカニズムの活用を呼びかけ
中国商務省、対米貿易方針を再確認
火曜日の記者会見で、中国商務省の報道官は、米国が最近発表した対中関税の引き上げやその他の制限措置にコメントしました。報道官は、いわゆる貿易戦争や関税戦争に対する中国の立場は変わっていないと強調しました。
具体的には「戦いを強いられれば応戦し、対話を求められれば門戸を開く」と述べ、中国は圧力には屈しない一方で、交渉や協議には引き続き前向きである姿勢を示しました。
さらに報道官は、中国と米国は広範な共通利益を持ち、協力できる余地は大きいと指摘しました。そのうえで「協力は双方に利益をもたらし、対立は双方を傷つける」として、対立よりも協力を選ぶべきだとの考えを示しました。
レアアース輸出管理は「正当な措置」
今回の発言の背景には、中国がレアアースと関連品目に対する輸出管理措置を発表したことがあります。報道官は、この措置は中国政府が法令に基づいて輸出管理制度を整備するための正当な行為だと説明しました。
中国側によれば、輸出管理はあくまで制度の枠組みを明確にするものであり、輸出禁止を意味するものではありません。条件を満たした申請には輸出ライセンスを付与し、世界の産業とサプライチェーンの安全と安定をよりよく守ることが目的だとしています。
また、中国は今回の輸出管理措置を公表する前に、二国間の輸出管理対話メカニズムを通じて米国側に事前に通知していたと明らかにしました。透明性を一定程度確保しようとした姿勢もうかがえます。
レアアースとは何か
レアアースは、ハイテク製品や環境関連技術に欠かせない希少な金属元素の総称です。例えば、電気自動車用モーター、風力発電の発電機、スマートフォン、精密機器など、多様な分野で使われています。
そのため、レアアースの供給をめぐる政策変更は、自動車産業や電子機器メーカー、再生可能エネルギー関連企業など、世界中の企業のコストや生産計画に直接影響を与える可能性があります。
米国の制限措置を批判する中国側
一方で報道官は、米国の輸出管理や制裁的な措置に対して強い懸念を表明しました。米国は長年にわたり国家安全保障の概念を過度に拡大解釈し、輸出管理を乱用してきたと指摘し、中国に対して差別的な措置を講じていると批判しました。
とくに、スペインのマドリードで行われた米中経済・貿易協議以降、米国が中国に対する新たな制限措置を相次いで導入していることを挙げました。報道官は、こうした措置が中国の利益を深刻に損なうだけでなく、二国間の経済・貿易協議の雰囲気も損ねていると述べ、中国はこれらの動きに断固として反対していると強調しました。
さらに「米国側は一方で対話を求めると言いながら、他方で新たな制限措置によって威嚇や圧力を加えるべきではない。このようなやり方は中国に対処する正しい方法ではない」として、対話と圧力を同時に進める米国の姿勢を問題視しました。
「誤りの是正」と「誠意ある対話」を要求
報道官は、米国に対して「誤った行為を速やかに正し、誠意を示して貿易協議に臨み、中国と同じ方向に向かって行動すべきだ」と述べました。
また、両国首脳による電話会談で得られた重要な共通認識を守り、交渉によって積み重ねてきた成果を大切にするよう呼びかけました。そのうえで、既存の米中経済・貿易協議メカニズムを積極的に活用し、対話を通じてそれぞれの懸念に対応しつつ、意見の違いを適切に管理することが重要だと強調しました。
こうしたプロセスを通じて、米中経済・貿易関係の健全で安定的、かつ持続可能な発展を促すべきだというのが中国側の主張です。
日本と世界経済への意味合い
今回の動きは、単なる米中二国間の対立にとどまりません。レアアースを含む戦略物資の供給や、関税を通じたコスト増は、グローバルなサプライチェーン全体に波及する可能性があります。
レアアースは日本企業にとっても重要な素材であり、自動車、電子機器、再生可能エネルギー関連など、多くの産業がその安定供給に依存しています。中国の輸出管理と米国の制限措置が同時に進むことで、価格変動や調達リスクが高まることを懸念する声も出ています。
一方で、中国側が輸出管理は輸出禁止ではなく、条件を満たせばライセンスを発給すると説明していること、さらに対話の継続を繰り返し呼びかけていることは、極端な分断を避け、協議によって解決を探る姿勢の表れとも受け止められます。
いま問われているのは、国家安全保障と経済の開放性をどこで線引きするのか、そして競争と協力をどのように両立させるのかという点です。日本としても、サプライチェーンの多様化を進めつつ、米中双方との関係をどのように築いていくのかが、これからも重要なテーマとなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








