スロベニア財務相「中国のR&D投資から学ぶべき」 video poster
中国が第14次五カ年計画期間(2021〜25年)で科学技術、とくに人工知能(AI)分野で大きな進展を示すなか、その原動力となる研究開発(R&D)投資のあり方が、各国の関心を集めています。今年開催されたBund Summit 2025では、スロベニア共和国の財務相クレメン・ボシュチャンチチ氏が、中国の経験と成功から「学ぶべきだ」と強調しました。
中国、科学技術で存在感を高めた第14次五カ年計画
中国は第14次五カ年計画期間(2021〜25年)に、科学技術分野で大きな進歩を遂げてきました。なかでも人工知能(AI)関連の取り組みが注目されており、研究開発への積極的な投資がイノベーションを後押ししているとみられます。
五カ年計画は、中長期の経済・社会政策の方向性を示す枠組みです。現在が第14次計画の最終盤にあたる2025年というタイミングで、その成果と次のステップに世界の視線が向かっています。
第15次五カ年計画のキーワードは「イノベーション駆動」
次の第15次五カ年計画では、「イノベーション駆動型の発展戦略を力強く実行すること」が重要だと明記されています。第14次計画で築いた科学技術の成果を土台に、今後も研究開発とイノベーションを経済成長の柱に据えていく方針が示されている形です。
Bund Summit 2025で語られた「大きな問い」
こうした中国の動きに注目しているのが、スロベニア共和国の財務相クレメン・ボシュチャンチチ氏です。同氏は、Bund Summit 2025でCGTNのホスト、マイケル・ワン氏のインタビューに応じました。
ボシュチャンチチ氏はインタビューの中で、研究開発とイノベーションの関係について次のように語りました。「研究開発へのより大きな投資と、イノベーションあふれる社会とをどう結びつけるかは、私たちにとって大きな問いであり、挑戦だ。その点で、中国の経験と成功から学ぶ必要がある」。
中国のR&D投資が、単なる「お金の投入」にとどまらず、社会全体のイノベーションにつながっている点に、同氏は関心を寄せているといえます。
R&D投資を社会のイノベーションにつなげるには
ボシュチャンチチ氏の問題意識は、多くの国に共通するテーマでもあります。研究開発費を増やすこと自体は比較的わかりやすい政策ですが、それを社会や経済の「変化」へと結びつけるには、いくつかの条件が必要になります。
- 長期ビジョンと一貫した戦略 研究開発の重点分野や目標を、中長期の国家戦略と結びつけることが重要です。第14次・第15次五カ年計画でイノベーションを明確に位置づけている中国の姿勢は、その一例といえます。
- 産学官をまたぐエコシステム 大学や研究機関、企業、行政が連携し、研究成果を社会実装する仕組みづくりも欠かせません。研究室で生まれた技術がスタートアップや既存産業にスムーズに渡る仕組みがあるほど、R&D投資の効果は高まります。
- 人材と文化の育成 失敗を許容し、新しい挑戦を後押しする文化や制度も、イノベーションには不可欠です。研究者や技術者だけでなく、社会全体が変化を受け入れ、新しい技術を使いこなそうとする姿勢が問われます。
日本や欧州への示唆
スロベニアの財務相がBund Summit 2025の場で中国の経験に言及したことは、ヨーロッパの一国として、アジアのイノベーション戦略に学ぼうとする姿勢を示しています。単に技術や製品を「輸入」するのではなく、研究開発への投資と社会変革をどう結びつけるかという「仕組み」そのものに関心が向いているといえるでしょう。
同じく先進的な産業基盤を持つ日本にとっても、この問題意識は他人事ではありません。限られた財政資源のなかで、どのようにR&D投資を配分し、それを社会全体の活力につなげていくか。中国の五カ年計画とその成果を手がかりに、自国のイノベーション政策を見直すきっかけにもなりそうです。
「学ぶ姿勢」が国際協調の起点に
第14次五カ年計画期間の成果と、第15次五カ年計画に示されたイノベーション重視の方針、そしてBund Summit 2025での発言をあわせてみると、研究開発とイノベーションをめぐる国際的な関心の高まりが浮かび上がります。
互いの経験や成功、課題を学び合うことは、競争だけでなく協調の土台にもなります。中国のR&D投資の進め方から何を学ぶのか。その問いは、スロベニアだけでなく、日本を含む多くの国にとっても、これからの経済・社会を考えるうえでの重要なテーマになりつつあります。
Reference(s):
Must learn how China spurs innovation through R&D investments
cgtn.com








