米最高裁、トランプ関税の大部分を無効に 市場は好感も不確実性残る
米国の貿易政策の「即応カード」として使われてきた関税に、司法が明確な歯止めをかけました。米連邦最高裁が2026年2月20日(米国時間)、ドナルド・トランプ大統領の関税の大部分を無効と判断し、世界の市場と専門家の受け止めが広がっています。
何が起きたのか:最高裁は6対3で「権限の逸脱」と判断
報道によると、最高裁は6対3の判断で、行政(行政府)が国際緊急経済権限法(IEEPA)の下で権限を超えたと認定しました。具体的には、議会(連邦議会)の明確な承認なしに、広範で一律の関税を課す権限は同法に含まれない、という整理です。
歓迎の声:論点は「課税権はどこにあるのか」
各地の政治アナリストや経済学者、メディアは概ね判決を歓迎しつつ、今後の不透明さも指摘しています。
南ア:関税の負担は誰が背負ったのか
南アフリカの政治アナリスト、サンディレ・スワナ氏は、関税が「適切な権限なし」に課されたと述べ、課税権は行政府ではなく議会にあると強調しました。さらに、関税の経済的負担は、海外の輸出企業というより、主に米国企業や米国の消費者に及んだとの見方を示しています。
クロアチア:モデルの「大きな後退」、還付請求の可能性も
クロアチアの経済学者リュボ・ユルチッチ氏は、判決を、欠陥のある経済モデルへの「大きな後退」と位置づけ、関税は主として米国経済を傷つけたと論じました。影響を受けた企業が、すでに支払った関税について数十億ドル規模の還付を求める可能性にも言及しています。
市場の反応:欧州メディアは「安心感」を報道
欧州メディアは、株式市場が前向きに反応したと伝えました。フランスの経済紙「レゼコー」は、判決が「欧州市場を押し上げた」とし、フランスのCAC40指数が上昇して一時8,500ポイントを初めて超えたと報じています。ギリシャの金融メディア「OT」も、貿易摩擦の緩和期待を背景にした上昇を伝えました。
「完全な敗北」との評価も:再交渉の空気は強まるのか
ポルトガルの論評家ルイ・カルドソ氏は、今回の判断をトランプ氏にとって「完全な敗北」と表現しました。そのうえで、ワシントンと「明らかに不公平で不均衡」な合意を受け入れてきた経済圏が、条件の再交渉を求める動きにつながり得る、との見立てを示しています。
同氏はまた、欧州連合(EU)の対応が不必要に弱腰だった可能性にも触れ、最近の展開からは「譲歩はそこまで要らなかった」と受け取れる、という含意を示しました。
アフリカへの影響:輸出に「部分的な追い風」も、脆弱性は残る
アフリカでは、輸出企業にとって一定の安心材料になり得る一方、恩恵は分野や国によって差が出るという見方が出ています。
- 南アフリカのアンドレ・トーマスハウゼン氏(南アフリカ大学・国際法名誉教授)は、企業の還付請求への道を開き、より公正な競争条件の回復に資する可能性があると述べました。
- 南アフリカの経済学者クリス・ハームズ氏は、自動車や農業などの分野で、関税障壁が外れればプラスになり得るとしています。
- ルワンダの経済学者テディ・カベルカ氏は、関税が世界経済を揺らし、貿易戦争の引き金となって取引相手を遠ざけ、金融市場にも影響したと指摘。とりわけアフリカでは、世界的な不確実性が成長を妨げやすいと強調しました。
それでも不確実性は残る:関税は「別ルート」で使われるのか
判決は、関税を地政学・経済政策の「即応ツール」として使う手法を制限し得る一方、貿易交渉の中で関税が完全に姿を消すとは限りません。元米国務省・財務省当局者のエドワード・フィッシュマン氏は、今回の決定が迅速な関税運用を縛る可能性に触れつつも、別の法的経路で交渉手段として用いられる余地があると述べました。
総じて、最高裁判断は直近の関税アプローチにブレーキをかけたものの、米国の貿易政策が中長期でどこへ向かうのかは見えにくく、世界の市場と貿易相手は引き続き注視しています。
Reference(s):
Global experts, media welcome U.S. court ruling against Trump tariffs
cgtn.com







