中国雲南省・徳昂族が守る春節の「石臼ごま」文化
中国雲南省・徳昂族が守る春節の「石臼ごま」文化
中国南西部・雲南省鎮康県で、徳昂族の村人たちが春節(旧正月)を祝うときに欠かせないのが、石臼のような形をした独特のこま遊びです。こま文化は無形文化遺産として受け継がれており、地域のアイデンティティを象徴する存在になっています。
鎮康県に根付くトップ文化
鎮康県では、こまを回す「トップ文化」に長い歴史があるとされています。県内の村のうち、4割以上の村が専用の「こま遊び場」を整備しており、日常の遊びであると同時に、祭りや行事の場でも活躍しています。
特に春節の時期には、村ごとに人々が集まり、腕前を競い合う場としてにぎわいます。こまを通じて世代や立場を超えて交流できるため、地域コミュニティをつなぐ大切な文化になっています。
直径20〜40センチの「石臼ごま」とは
徳昂族の人々が使うのは、石臼を思わせる独特の形をしたこまです。硬い木材から作られており、直径はおよそ20〜40センチ、高さは5〜8センチほど。一般的な手のひらサイズのこまと比べるとかなり大きく、重量感のある道具です。
この「石臼ごま」は、形だけでなく遊び方にも特徴があります。大きくて重いぶん、しっかりと紐を巻き、力強く投げる技術が求められます。うまく回りはじめると、低い位置で安定して長く回転し、その様子を囲んで見守る人々の歓声が上がります。
春節、ガジュマルの木の下で
鎮康県の白岩村では、春節になると、徳昂族の村人たちが大きなガジュマルの木の下に集まり、「石臼ごま」の競技を行います。老若男女が見守るなかで、参加者が順番にこまを投げ合い、回転の力強さや持続時間、技の巧みさなどを競います。
この光景は、2025年1月14日に現地で撮影されたもので、年明けのにぎやかな空気や、人々の笑顔、こまが地面を打つ音までが伝わってくるようです。単なる遊びという枠を超え、村全体が一体となって新年を祝う儀式のような意味合いも感じられます。
無形文化遺産としての重み
鎮康県の「石臼ごま」文化は、無形文化遺産として位置づけられています。無形文化遺産とは、形のある建物や遺跡ではなく、技術、祭礼、芸能、生活の知恵など、目に見えにくい文化を守り、次の世代に伝えていくための考え方です。
徳昂族のこま遊びの場合、木を選び、こまの形に加工する技術から、回し方、競技のルール、祭りの場での振る舞いに至るまで、多くの要素が世代を超えて受け継がれています。こうした日常と祭礼が重なった文化が残ることは、地域の多様性を理解するうえでも重要です。
デジタル時代にどう受け継ぐか
スマートフォンやオンラインゲームが当たり前になった今、身体を使い、大勢で同じ場所に集まるこま遊びは、一見すると時代遅れに見えるかもしれません。しかし、鎮康県のように専用の遊び場が整備され、春節の行事として定着している地域では、むしろ「共同体の時間」を生み出す仕組みとして機能しています。
今後、こうした無形文化を守るためには、若い世代が自然に参加できる場づくりが鍵になります。春節のこま競技を通じて、子どもたちが地域の歴史や先人の知恵に触れ、そこに自分なりの楽しみ方を見いだしていくことが期待されます。
国際ニュースとしての視点
国際ニュースというと、政治や経済が注目されがちですが、各地の祭りや遊びに目を向けると、その土地の人々が何を大切にしているかが見えてきます。中国南西部・雲南省鎮康県の徳昂族が守る「石臼ごま」文化も、その一つの例です。
春節にこまを回すという一見ささやかな行為のなかに、共同体のつながりや、時間をかけて育まれてきた技と遊びの記憶が折り重なっています。ニュースを通じてこうした光景に触れることは、私たちが世界の多様な暮らし方を想像し、自分の足元の文化を見直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
De'ang ethnic villagers spin tops to celebrate the Spring Festival
cgtn.com








