「海に浮かぶゴーストシティ」新疆ウルングル湖のヤードン地形 video poster
中国の新疆にあるウルングル湖の東岸には、約5キロメートルにわたってヤードン地形が伸びています。湖の対岸から眺めると、その一帯は水面に浮かぶ色鮮やかな「ゴーストシティ」のように見え、砂の城や石の森が立ち上がる幻想的な光景が広がります。
日本語で国際ニュースや海外の風景を追いかけていると、首都や有名観光地の話題に偏りがちですが、こうした静かな地形にも、世界の多様さとスケールの大きさが凝縮されています。
湖に浮かぶ「ゴーストシティ」の正体
このヤードン地形は、ウルングル湖に面した岸辺に沿って帯状に続きます。別の岸から見ると、切り立った岩や砂丘が連なり、本物の都市の高層ビル群のようなシルエットをつくり出します。
水面に映るその姿は、まるで「海に浮かぶゴーストシティ」。静かな湖の青と、砂や岩の色とのコントラストが強く、光の当たり方によっては、砂の城がいまにも動き出しそうな躍動感すら感じられます。
ヤードン地形とは何か
ヤードン地形とは、風による浸食でつくられた独特の地形のことです。比較的やわらかい地層が長い時間をかけて削られ、細長い尾根と溝が規則正しく並んだような景観が生まれます。
ウルングル湖のヤードンも、例外ではありません。ここでは、
- 風が砂や小石を運びながら地表を削り取ること
- 長い時間をかけて、削られやすい部分と残りやすい部分の差が強調されること
によって、砂の城や石の森を思わせる立体的な造形がつくり出されています。「風と時間が彫刻家」という表現が、そのまま当てはまる景色です。
ウルングル湖東岸に続く、約5キロの「風の彫刻帯」
このヤードン地形は、ウルングル湖の東岸に沿って、およそ5キロメートルにわたり連なっています。一直線ではなく、湖の入り江やわずかな起伏に合わせて、自然なうねりを描きながら広がっていると考えられます。
対岸から見れば、その全体像は、湖の青に浮かぶ一つの巨大な都市のようにも、連続する城壁のようにも映ります。近づいて見ると一つ一つは砂や岩の塊にすぎませんが、距離が変わることで、全体が「ゴーストシティ」として立ち現れる点が、この景観の面白さです。
陸と水がつくるコントラスト
湖の静かな水面と、風に削られた荒々しい地形。この二つの要素が隣り合うことで、ウルングル湖東岸のヤードンには、独特の緊張感と美しさが生まれています。
海や湖の「水平線」と、ヤードンの「垂直の壁」。その組み合わせが、人の目に都市のスカイラインを連想させ、「ゴーストシティ」というイメージをいっそう強くしているのかもしれません。
風景から「時間」を感じ取る
ヤードン地形が教えてくれるのは、派手な奇岩の形そのものだけではなく、「時間の長さ」です。人の一生よりはるかに長い時間、風が同じ場所を通り抜け、少しずつ砂や岩を運び続けた結果が、いま目の前にある景観です。
私たちはふだん、スマートフォンの画面の中で世界を素早く切り替えながら、秒速で情報を消費しています。その一方で、ウルングル湖のヤードンは、何千、何万という風の季節を積み重ねながら、「ゆっくりと世界が変わるリズム」を静かに物語っているようにも見えます。
国際ニュースの見出しにはなりにくい新疆のウルングル湖に浮かぶ「ゴーストシティ」は、ただの絶景ではなく、風と時間がつくり出した「地球の記録」の一ページでもあります。地図の端にあるような場所の風景から、私たち自身の時間の感覚や、自然との距離感を見直してみる――そんなきっかけを与えてくれる地形だと言えるでしょう。
Reference(s):
A vibrant ghost city on the sea—Yardang landform in Xinjiang
cgtn.com








