シベリアの古調が銀幕と交わる:北京国際映画祭での異色共演 video poster
今年4月に開催された北京国際映画祭で、ロシア・トゥバ共和国から招かれた世界唯一の女性のみによる喉歌(ホーメイ)グループ、Tyva Kyzy(トゥヴァ・クズィ)のパフォーマンスが注目を集めています。古代から伝わるその響きが、中国の武侠映画の名場面と融合し、予想外の化学反応を起こしました。
伝統を超える音、トゥヴァの女性たち
グループを率いるのは、初めて「トゥヴァ人民ホーメイ音楽家」の称号を受けた女性、チョドゥラー・トゥマトです。喉歌は長い間男性中心の伝統芸能とされてきましたが、彼女たちはその垣根を打ち破り、ホーメイの新たな可能性を探求し続けています。シベリアの草原で育まれた、倍音を操るこの独特な歌唱法は、世界の音楽ファンを魅了してきました。
映画祭のステージで生まれた、東西の「共鳴」
映画祭の場で、トゥマトらは中国映画の代表作『グリーン・デスティニー』(原題:臥虎蔵龍)の中でも伝説的な「竹林の決闘」シーンを鑑賞しました。そして、その映像を見ながら、即興で喉歌を響かせたのです。剣戟が交わる緊張感と、竹林を渡る風の音。映画が描く東洋的な美意識と、シベリアの大地から生まれた倍音のうなりが、一つのステージの上で見事に溶け合いました。
「聴覚」と「視覚」の越境体験
このコラボレーションは、単なる音楽の演奏を超えた、総合的な芸術体験でした。観客は、中国の武侠世界という「視覚」のイメージと、トゥバの喉歌という「聴覚」の古代音とを同時に受け止めることになります。異なる文化圏で発展してきた二つの表現形式が、時空を超えて邂逅し、新しい感覚を生み出した瞬間でした。
北京国際映画祭は、単に映画を上映する場ではなく、様々な芸術表現が交差し、対話するプラットフォームとしての役割も果たしています。今回のTyva Kyzyの参加は、シベリアの少数民族の文化を世界に発信する機会であると同時に、映画というメディアの可能性を音の面から再考させるきっかけにもなったと言えるでしょう。
Reference(s):
Beijing International Film Festival meets the winds of Siberia
cgtn.com








