スイス氷河が過去12カ月で急激後退 観測史上4番目の氷量減少
スイスの氷河がこの12カ月で大きく後退し、総氷量の3%を失ったことが、2025年に発表された氷河監視機関GLAMOS(スイス氷河監視ネットワーク)の最新報告で明らかになりました。スイス氷河の氷量減少としては観測史上4番目の大きさで、少雪の冬と6月の熱波が主な要因とされています。
過去12カ月で「観測史上4番目」の氷量減少
GLAMOSはスイス全土の氷河を長期的に観測している機関で、スイスの氷河の状態を毎年報告しています。GLAMOSは水曜日に最新の観測結果を公表しました。報告によると、過去12カ月でスイスの氷河は全体の約3%にあたる氷を失い、記録が残る中で4番目に大きい減少となりました。
この数字について、GLAMOSの責任者であるマティアス・フス氏は「これは本当に大きい」とコメントしています。フス氏によると、この評価は10月から翌年9月までを1年とする「水文年」を対象としており、その期間に起きた気象条件の影響が集中的に表れた結果だといいます。
少雪の冬と6月の熱波が重なった理由
今回の氷量減少の背景には、スイスの冬の降雪量の少なさがあります。特にアルプス北東部では雪が少なく、例年に比べて氷河の表面を守る雪の層が薄かったとされています。
冬から春にかけて降り積もった雪は、本来であれば初夏まで氷河を覆い、強い日差しから氷を守る役割を果たします。白い雪は太陽光を反射しやすく、氷の融解を抑える「保護シート」のような存在です。しかし雪が少ないと、氷河そのものが早い時期から露出し、太陽光を直接受けることで融解が加速します。
そこに追い打ちをかけたのが、6月に起きた熱波です。気温が平年を大きく上回る日が続いたことで、氷河は短期間で大量の氷を失ったとみられています。少雪の冬と初夏の猛暑という「悪い条件の組み合わせ」が、今回の3%減少につながったと指摘されています。
スイス氷河の変化が示すもの
スイスの氷河は、圧倒的な景観を生み出す観光資源であると同時に、ヨーロッパの河川の水源としても重要な役割を担っています。氷河が縮小すると、夏場の水供給の変化や、山岳地域での土石流・崩落リスクの増大など、さまざまな影響が懸念されます。
今回の報告は、過去12カ月という限られた期間に起きた気象条件の影響をまとめたものですが、こうした大幅な減少が繰り返されれば、氷河の後退は長期的にも加速しかねません。単年ごとの「異常な年」が例外ではなくなりつつあるのかどうかが、今後の注目点になります。
日本やアジアの読者にとっての意味
日本にはアルプスのような巨大な氷河はありませんが、山岳地域の雪や氷が水資源や生態系に与える影響はスイスと共通する部分が多くあります。高山の雪解けは、河川やダムの水位、農業用水、発電などと密接に関わっています。
スイスで起きている氷河の変化は、山岳を持つ世界各地で起こりうる「一つのシナリオ」として見ることができます。遠くのヨーロッパの環境ニュースとして片付けるのではなく、水不足や極端な気象、観光資源の変化など、自分たちの暮らしと結びつく論点として捉える視点が求められます。
これから問われる視点
氷河の減少そのものを短期間で止めることは難しいものの、温室効果ガス排出の削減や、極端な気象に備えたインフラ整備など、社会として取れる選択肢は存在します。同時に、こうした国際ニュースに継続的に目を向け、変化のサインを早めに把握しておくことも重要です。
スイスの氷河がこの1年で失った3%という数字をどう受け止めるのか。単なる「遠い国の出来事」と見るのか、それとも自分たちの将来像を考えるきっかけとするのか。2025年の今、このニュースは私たち一人ひとりの視点を静かに問いかけています。
Reference(s):
Swiss glaciers melt sharply after light snowfall and heatwave
cgtn.com








