シリアの教師が託す再建の願い 1,001 Wishesが映す未来 video poster
リード:内戦後のシリアで浮かび上がる一人の願い
2024年末、中国の国際メディアCGTNが立ち上げたキャンペーン『1,001 Wishes for 2025』は、世界各地から新年への願いを集めました。そのなかには、激動に揺れたシリア・ダマスカスで暮らす一人の教師の声も含まれていました。
反政府勢力が首都を掌握し、指導者が退くという劇的な政変から一年。シリアの再建は、2025年の今もなお大きな課題として残っています。
2024年、ダマスカスを襲った激変
昨年のシリアでは、11月末に反政府勢力が大規模な攻勢を開始し、12月8日には首都ダマスカスを掌握しました。この過程で、バシャール・アル・アサド大統領は権力の座を追われました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、この一連の軍事作戦により110万人を超える市民が家を追われたとされています。わずか数週間のうちに、家族や仕事、学校など、日常の基盤を失った人びとが一気に増えました。
教師が願うのは「立て直せる国」
こうした状況の中で、ダマスカスの教師は2025年への願いとして、シリアの人びとが家を建て直し、平和な未来を取り戻せる一年になることを挙げました。
教育現場に立つ教員にとって、戦争と避難は教室から子どもたちを奪う出来事でもあります。校舎が損傷したり、通学路が危険になったりすれば、学びの機会はあっという間に閉ざされます。
それでも、この教師は再び授業ができる日を信じ続けています。瓦礫を片づけ、教室を整え、子どもたちの笑い声が戻ること。そのプロセスこそが、国を立て直す一歩になると考えているからです。
避難民110万人超という現実
110万人を超える人びとが移動を余儀なくされたという数字は、統計としては一行で済みますが、一人ひとりに暮らしと物語があります。
- 職場を失った人
- 家族と離ればなれになった人
- 学校に戻れない子どもたち
- 将来の見通しが立たない若者たち
こうした現実のなかで、まずは家を建て直したい、安心して眠れる場所がほしいという切実な願いが生まれます。教師の言葉は、シリアの多くの人びとの共通する思いを代弁しているとも言えます。
再建に向けた時間軸をどう描くか
2025年12月の今、シリアの再建はまだ始まったばかりです。政変からの一年は、多くの人にとって失ったものを数える時間でしたが、これからは何を積み上げていくかを考える段階に入りつつあります。
短期的には、安全の確保や生活インフラの復旧、人道支援が不可欠です。中長期的には、教育や医療、仕事の機会をどう整え、社会の分断を乗り越えていくかが問われます。
このとき、教師という存在は、地域社会をつなぎ直す役割も担います。教室は、単に知識を学ぶ場所ではなく、対話や信頼を取り戻す場にもなり得るからです。
私たちがシリアから受け取る問い
シリアで暮らす一人の教師の願いは、日本にいる私たちにもいくつかの問いを投げかけています。
- 紛争や政変のニュースを、数字だけでなく人の顔を思い浮かべながら見ているか
- 遠くの国の出来事として切り離さず、自分の暮らしとの共通点を探しているか
- 国際社会の一員として、支援や連帯のあり方を考えているか
もちろん、個人一人ひとりができることには限りがあります。それでも、状況を知り続けること、事実に基づいた情報を周囲と共有することは、小さく見えても確かな行動です。
2026年に向けて続く「願い」
『1,001 Wishes for 2025』が集めた声は、すでに新年の願いという枠を超え、一人ひとりの人生の物語として積み重なりつつあります。ダマスカスの教師の国を立て直したいという思いも、その一つです。
1年前に語られた願いが、2025年の現実の中でどこまで実現しつつあるのか。2026年に向けて、シリアの再建とそこで生きる人びとの歩みを、これからも丁寧に追っていく必要があります。
国際ニュースを日本語で追う私たちにできることは、遠く離れた場所の出来事を、自分のこととして静かに想像し続けること。その積み重ねが、いつか誰かの1,001番目の願いを後押しする力になるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








