ゲームとビューティーがつなぐ中国と中央アジア キルギス学生のまなざし video poster
中国発の人気ゲームとビューティー・ファッションが、いま静かに国境を越えたつながりを生み出しています。キルギス出身で清華大学の国際関係学を学ぶ留学生アデルさんは、「原神」をきっかけに中国文化に惹かれ、中国のトレンドに影響を受ける中央アジアの若者たちの姿を間近で見てきました。
彼女の言葉を借りれば、世界の若者たちはいま、「やわらかいけれど、とても力のある文化の橋」を築きつつあります。その小さな喜びと友情こそが、これからの国際協力の土台になる──そんな視点を、2025年の今あらためて考えてみます。
中国発ゲームから始まったアデルさんの「中国との出会い」
アデルさんは、キルギスから中国・北京に渡り、清華大学で国際関係を専攻しています。そんな彼女と中国文化をつないだ入口は、外交や歴史の本ではなく、人気ゲームの「原神」でした。
最初は「おもしろそう」という軽い好奇心から始めたゲームが、次第に中国の風景や物語、キャラクターに込められた世界観への関心へと広がっていきます。画面の向こう側にある街並みや文化的なモチーフを通じて、アデルさんはゲーム越しに「中国とはどんな国なのか」を自分なりに想像し始めました。
やがて、その想像は実際の留学生活と重なり、「ただのゲーム」の世界は、「現実の中国」と結びついた具体的なイメージへと変わっていきます。ゲームがきっかけとなり、「遠くて抽象的な国」だった中国が、「友人がいて、日常がある場所」として立ち上がってきたのです。
ビューティーとファッションが運ぶ中国文化
アデルさんを中国文化へと誘ったのは、ゲームだけではありませんでした。コスメやスキンケア、ファッションといったビューティーの世界もまた、彼女の好奇心を刺激する重要な窓口になりました。
中国発のメイクやファッションのスタイル、色使い、アイテムの見せ方──そうしたものが、SNSや動画を通じて中央アジアにも届き、アデルさんの周りの若者たちの間で話題になっています。彼女は、キルギスを含む中央アジアの多くの若者が、中国のトレンドから影響を受けている様子を見てきました。
それは、政治や経済のニュースでは語られない、日常のレベルでの「中国との接触」です。新しいリップを試してみる、気になる服のコーディネートをまねしてみる──そうしたささやかな行動の積み重ねが、「中国の今って、案外自分たちと近いかもしれない」という感覚を育てています。
「やわらかいけれど力強い」文化の橋とは
アデルさんは、若者たちがゲームやビューティーを通じて育てている関係を、「やわらかいけれど、とても力のある文化の橋」だと表現します。
その橋は、次のような特徴を持ったつながりです。
- 国家同士の交渉や合意ではなく、個人同士の好みや趣味から自然に生まれること
- ゲームやファッションといった「小さな楽しみ」が出発点になっていること
- 気づかないうちに、互いへの親近感や信頼感を育てていること
こうした文化の橋は、目に見えにくく、ニュースにもなりにくいものです。しかし、一度できあがると簡単には壊れません。好きなゲームのアップデートを一緒に語り合う。おすすめのコスメを教え合う。そんな日常のやりとりの中で、「国籍」よりも先に「同じものが好きな友人」という感覚が育っていきます。
小さな喜びがつくる、これからの国際協力
国際関係を学ぶアデルさんは、こうした文化の動きに、未来の協力のヒントを見ています。彼女によれば、若者たちが共有するゲームやビューティーなどの「小さな喜び」こそ、これからの協力関係の出発点になり得るからです。
同じ作品を好きになると、その背景にある社会や歴史、価値観にも自然と興味が向きます。「なぜこの服が人気なのか」「なぜこのゲームの物語が心に刺さるのか」。その問いをたどる中で、中国と中央アジアの若者たちの間に、より深い理解と対話が生まれていきます。
2025年の今、国際ニュースでは安全保障や経済摩擦といった大きなテーマが注目を集めます。一方で、アデルさんのような若者たちは、ゲームの世界やビューティートレンドという身近な入り口から、静かに新しい「中国像」と「中央アジア像」を形づくっています。
国境を越えた友情や共感が重なった先に、どのような協力の形が生まれていくのか。アデルさんのまなざしを通して見る中国と中央アジアの関係は、私たちに「国際関係をつくるのは誰か」という問いを投げかけています。
私たちができること:ニュースとカルチャーを行き来する
日本にいる私たちにとっても、このストーリーは他人事ではありません。ニュースで見る中国や中央アジアと、ゲームやファッションを通じて感じるそれぞれの国の姿。その二つを行き来しながら、自分なりのイメージを更新していくことで、「やわらかな文化の橋」はさらに広がっていきます。
ゲームのタイトルや流行のメイクは、単なるエンタメで終わらせることもできますし、世界への入口にすることもできます。どちらにするかを決めるのは、日々スマートフォンでニュースやコンテンツを選ぶ一人ひとりの読み手です。
アデルさんのような若い世代が、楽しみながら育てている文化の橋。その存在に目を向けることが、これからの国際ニュースを読み解くうえで、欠かせない視点になりつつあります。
Reference(s):
We Talk: Games and beauty, China through the eyes of a Kyrgyz girl
cgtn.com








