ゼレンスキー大統領の支持率が上昇 米政権との緊張が生んだ「結束」の構図
ゼレンスキー大統領の支持率が上昇 米政権との緊張が生んだ「結束」の構図
ウクライナのゼレンスキー大統領の支持率が、米国の新政権との関係がぎくしゃくする中で上昇していることが、今年3月上旬に公表された世論調査で明らかになりました。本記事では、その数字が示す国内世論の動きと、対米関係への意味合いを整理します。
世論調査が示した「68%支持」
キーウ国際社会学研究所(KIIS)が実施し、今年3月上旬の金曜日に公表した調査によると、ゼレンスキー大統領を「支持する」と答えた人は68%に達し、前月の57%から大きく伸びていました。一方、「支持しない」は37%から27%へと10ポイント低下していました。
- 大統領を支持する:68%(前月57%)
- 大統領を支持しない:27%(前月37%)
- わずか1カ月で支持+11ポイント、不支持-10ポイント
KIISのアントン・フルシェツキー事務局長は、調査結果について「ウクライナの人々は、米国の新政権の発言を、ウクライナ全体とウクライナ人全員に対する攻撃として受け止めている」と説明しています。
背景にある米新政権との緊張
今回の支持率上昇の背景には、ウクライナと米国ワシントンとの間で高まった緊張があります。KIISの分析が示すように、ウクライナ側では、米政権側の強い言葉が大統領個人への批判というより、国全体への圧力として映っているとみられます。
その結果、「外からの圧力に対して、自国の指導者のもとに結束する」という心理が働き、ゼレンスキー大統領への支持が高まった可能性があります。危機や対立が起きると、短期的にリーダーへの支持が上がる現象は、他国の政治でもたびたび観測されてきました。
ホワイトハウス会談で何が起きたのか
緊張の象徴となったのが、今年2月28日にホワイトハウスで行われた、ゼレンスキー大統領とドナルド・トランプ米大統領、ジェイ・ディー・バンス副大統領との会談です。この会談は激しいやりとりとなり、予定されていた共同記者会見と、原材料に関する二国間協定の署名が中止されました。
ウクライナ側にとっては、主要な同盟国との協力の象徴となるはずだった場が決裂した形で終わったことになります。こうした出来事は、国民の間で「厳しい交渉の最前線に立つ自国のリーダー」を意識させ、大統領への支持を押し上げたと考えられます。
なぜ支持率は上がったのか
今回の世論調査からは、少なくとも三つのポイントが浮かび上がります。
- 米国との関係が不透明になる中で、大統領が対外交渉の「顔」としてより強く意識された
- ホワイトハウスでの激しいやりとりを通じて、譲歩しない姿勢を見せたと受け止められた
- 米政権の発言が「ウクライナ全体への攻撃」と感じられたことで、大統領個人への評価が相対的に高まった
こうした要素が重なり、支持率の上昇と不支持層の縮小につながったとみられます。調査結果は、ウクライナ国内で「対米関係の緊張=大統領の求心力強化」という図式が働いている可能性を示唆しています。
今後の焦点:国内世論と対米関係のバランス
今年3月の調査結果は、現在もゼレンスキー政権の政治基盤を考えるうえで重要な手がかりです。支持率の上昇は、大統領にとって追い風である一方、対米関係では難しいかじ取りを迫られます。
国内世論の期待に応えつつ、ワシントンとの実務的な協力をどこまで維持できるのか。今後の追加調査や、ウクライナと米国双方の発言・政策の変化を追うことで、この「結束」が一時的なものなのか、それとも長期的な政治的変化につながるのかが見えてきそうです。
日本から国際ニュースを追ううえでも、ウクライナの世論がどのように動き、米政権との関係がどう変化していくのかを注視することが、2025年以降の世界情勢を理解する鍵の一つとなります。
Reference(s):
Zelenskyy's approval rating rises amid tensions with Washington: poll
cgtn.com








