米国世論調査:ロサンゼルス軍派遣をめぐり賛否が拮抗
2025年6月にロサンゼルスに部隊が派遣された問題をめぐり、米国世論が賛否真っ二つに割れていることが、ワシントン・ポストとジョージ・メイソン大学による世論調査で明らかになりました。移民政策への不満や安全保障への不安が複雑に絡み合い、このテーマは2025年の米国政治を象徴する論点の一つとなっています。
世論は「賛成41%・反対44%」で拮抗
今年6月10日に実施され、同月の木曜日に公表されたテキストメッセージ方式の全国調査(成人1,015人、うちカリフォルニア州在住217人)によると、ドナルド・トランプ大統領によるロサンゼルスへの部隊派遣を「支持する」と答えた人は41%、「反対」は44%、「わからない・判断できない」が15%でした。
- 賛成:41%
- 反対:44%
- 判断保留:15%
わずかながら反対が上回るものの、全体としてはほぼ拮抗しており、国を二分するテーマになっていることがうかがえます。
カリフォルニアでは反対が多数派
部隊が実際に派遣されたカリフォルニア州では、世論の空気はさらに厳しくなっています。州内の回答者に限ると、
- 反対:58%
- 賛成:32%
と、反対が賛成を大きく上回りました。地元ほど「軍による治安維持」に慎重な見方が強いことが浮かび上がります。
党派でくっきりと分かれる評価
今回の米国世論調査では、政党支持による分断も際立ちました。
- 共和党支持層の約86%が派遣を支持
- 民主党支持層では支持は10%にとどまり、76%が反対
- 無党派層は、反対48%・賛成33%と、反対が15ポイント上回る
同じ出来事を前にしても、「治安を守るための正当な措置」と見るのか、「権力の行使が行き過ぎている」と感じるのか。党派によって、評価の前提そのものが異なっていることがわかります。
背景にある軍派遣と移民取締り
トランプ大統領は6月上旬、ロサンゼルスでの移民関連の取り締まりを強化するため、およそ4,000人の州兵と700人の海兵隊員を動員しました。目的は「連邦政府の施設を守り、現場の捜査官を支援する」ことだと説明されています。
こうした動きの背景には、移民・関税執行局(ICE)が移民コミュニティに対して積極的な一斉摘発を行ったことがあります。この「強硬な取り締まり」をきっかけに、ロサンゼルス各地で抗議デモが始まりました。
州と連邦の対立、ロサンゼルス市の対応
部隊派遣をめぐっては、州と連邦政府の権限をめぐる対立も鮮明になりました。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、軍の派遣は州の権限を侵害し、かえって不安と緊張をあおるとして連邦政府を提訴。6月の木曜日には、連邦判事が州側の緊急差し止め要請を審理しましたが、その場での判断は示されませんでした。
一方、ロサンゼルスのカレン・バス市長は、ダウンタウンのおよそ2.6平方キロメートルの範囲に夜間外出禁止令を出しました。火曜日以降この措置が続いており、ロサンゼルス市警は、外出禁止令違反や器物損壊などで多数の逮捕者が出ているとしています。
広がる抗議と「99.99%は平穏」という現実
抗議行動はロサンゼルスにとどまらず、シカゴ、ニューヨーク、サンアントニオ、スポケーンなど、全米各地の都市に広がりました。各地で一部の参加者による略奪や警察との衝突が報告され、複数の自治体が夜間外出禁止令を導入しています。
ただし、暴力的な場面が注目される一方で、多くの住民はあくまで平和的に声を上げているという現実もあります。ロサンゼルス郡の検事は、抗議エリア周辺の住民の99.99%は違法行為に関与していないと強調しました。
抗議デモと移民政策への評価も二分
同じ世論調査では、移民取締りに反対する抗議デモそのものへの評価も聞いています。「デモを支持する」と答えた人は39%、「支持しない」は40%、「どちらとも言えない」が21%と、ここでも賛否はほとんど拮抗しました。
トランプ大統領の移民政策全体への見方は、やや否定的な方向に傾いています。「支持しない」と答えた人は52%、「支持する」は37%でした。軍の投入という強いメッセージは、一部の支持層には響く一方で、より広い有権者の不安や反発も招いていることがうかがえます。
日本の読者が押さえたい3つのポイント
今回のロサンゼルスをめぐる動きと米国世論調査は、日本から米国政治を眺めるうえでもいくつかの示唆を与えてくれます。
- 治安と市民の自由のバランス
秩序維持の名の下に軍や警察の権限をどこまで拡大してよいのか。安全と自由の線引きは、多くの民主社会で共通する悩みです。 - 連邦政府と州の権限
ロサンゼルスやカリフォルニア州の反発は、「誰が地域の安全を最終的に決めるのか」という問いを投げかけています。 - 移民政策をめぐる長期的な対立
移民をどう受け入れ、どのように共生していくのか。米国ではこのテーマが、政党支持や地域によって大きく評価が分かれる「社会の分岐線」となっています。
一つの世論調査の数字の背後には、こうした価値観の違いが折り重なっています。ロサンゼルスの軍派遣をめぐる議論は、今後も米国の政治と社会の方向性を測る重要な指標の一つであり続けそうです。
Reference(s):
cgtn.com








