トランプ大統領、再登板後初の大統領権限でウクライナに武器供与へ
ロシアによる侵攻が続くウクライナへの軍事支援をめぐり、米国のドナルド・トランプ大統領が再登板後初めて、大統領権限を使ってキーウ(キエフ)に武器を送る方針を固めました。国際ニュースとして、ウクライナ情勢と米国政治の両面で大きな節目となる可能性があります。
再登板後初の「大統領権限」行使へ
決定に詳しい2人の関係者によると、トランプ大統領は現地時間の木曜日、ウクライナへの新たな武器供与を承認する見通しです。規模はおよそ3億ドル(約300億円規模)とされ、再登板後では初めて、自らの判断で武器の供与を決めることになります。
米大統領は「大統領緊急軍需放出権限(Presidential Drawdown Authority)」を使うことで、緊急時に米軍の保有する武器や弾薬を同盟国に迅速に提供できます。これまでのトランプ政権は、前任のジョー・バイデン前大統領の時代に承認された武器供与分のみを送ってきましたが、今回は初めて自らこの権限を行使するとみられます。
パトリオットや中距離ロケットも候補
関係者によれば、新たな支援パッケージには次のような装備が含まれる可能性があります。
- 防空用のパトリオットミサイル
- 攻撃用の中距離ロケット
ただし、具体的にどの装備を含めるかについてはまだ最終決定には至っておらず、木曜日の会合で詰めの協議が行われる見通しです。
揺れ動いてきたトランプ氏のウクライナ姿勢
トランプ大統領のウクライナ防衛をめぐる姿勢は、一貫しているとは言いがたい面があります。米国の支出規模を批判し、ロシアに対して好意的とも取れる発言をする一方で、ウクライナへの支援を口頭では支持し、ロシアの指導部を批判する場面もありました。
2025年7月の「供与停止」からの転換
今年7月1日、ホワイトハウスはウクライナ向けに予定されていた一部の防空システムや精密誘導兵器の出荷を停止したと発表しました。担当者は、米軍の弾薬や装備の在庫状況を評価した結果だと説明していました。
しかしその数日後の7月4日、トランプ大統領はウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、自身は武器供与の停止に責任はないと語っています。記者団から「誰が停止を命じたのか」と問われると、「知らないね。あなたが教えてくれたら?」と述べ、判断主体について明言を避けました。
政権内の説明と大統領自身の発言のズレは、ウクライナ支援の意思決定プロセスをめぐる疑問を生んでいました。今回、トランプ氏が自らの大統領権限を使って武器供与に踏み切ることは、そうした不透明さをどこまで解消できるのかという点でも注目されます。
イスラエル首相との会談で示した「防衛のための武器」
最近、訪米したイスラエルのネタニヤフ首相との会談でも、トランプ大統領はウクライナに追加の武器を送る考えを明らかにしました。ウクライナが自らを守れるようにすることが目的だと説明しており、その延長線上で今回の支援パッケージが位置づけられているとみられます。
今後のウクライナ支援と米国政治への影響
大統領が自らの権限で武器供与を決断したことは、今後のウクライナ支援の方向性を占う試金石となります。
- トランプ政権がどこまでウクライナ支援を継続・拡大するのか
- 米国内の世論や議会との関係にどのような影響が出るのか
- 欧州や日本を含む同盟国が、米国の対ロシア姿勢をどう見極めるのか
こうした点は、2025年以降の国際秩序や安全保障を考えるうえで重要な論点となります。今回の決定は、ウクライナ戦争の行方だけでなく、米国のリーダーシップのあり方を映す鏡にもなりそうです。
※この記事は2025年12月8日時点の情報に基づいています。
Reference(s):
Trump to use presidential authority to send weapons to Ukraine
cgtn.com








