ウクライナ外相「必要なのは宥和ではなく真の平和」OSCEでロシアに言及
ウクライナとロシアの戦争が長期化するなか、ウクライナは欧州安全保障協力機構(OSCE)の会合で「真の平和こそ必要であり、宥和ではない」と強調しました。停戦案づくりが進む一方で、戦闘とインフラ攻撃は続いており、「どのような和平なら許容できるのか」が改めて問われています。
OSCEでの強いメッセージ:「真の平和、宥和ではない」
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、OSCE年次外相理事会で次のように述べました。
- 「私たちは、未来の世代を裏切った人々の名を、ミュンヘンからいまも覚えています。これを繰り返してはならない」
- 「原則は侵してはならず、必要なのは真の平和であり、宥和ではない」
ここで言及されたミュンヘンとは、1938年に英国、フランス、イタリアがナチス・ドイツによるチェコスロバキアのズデーテン地方併合を受け入れた「ミュンヘン協定」のことです。シビハ外相は、この歴史的な宥和政策を引き合いに出し、「不公平な和平」は新たな悲劇を招いてきたと警告しました。
さらに外相は、過去の欧州には「不公平な和平」が多すぎ、それらは「新たな大惨事につながった」と指摘しつつ、和平努力を進める米国に謝意を示し、「ウクライナはこの戦争を終わらせるために、あらゆる機会を活用する」と述べました。
米ロと欧州のあいだで揺れる和平案
国際ニュースとして注目されているのが、米国が主導した和平案をめぐる駆け引きです。ウクライナ危機の打開を目指す米ロの高官協議は火曜日に終了しましたが、大きな突破口は開けませんでした。ロシア側は、複数の和解案の枠組みが議論されたものの、妥協には至らなかったとしています。
米国は当初、ロシアとウクライナの和平に向けた28項目の案を提示しましたが、ウクライナと欧州各国の政府は、ロシア寄りだとして批判しました。その後、11月23日にジュネーブで米国、ウクライナ、欧州諸国の代表が会合を開き、この案は19項目に絞り込まれました。
しかしロシアのプーチン大統領は、欧州側が加えた修正案について、「交渉を妨げる意図があるもので、ロシアにとって受け入れられない」と表明し、欧州側の修正を公然と拒否しました。
最大の争点は「領土」
和平を難しくしている最大の焦点は、やはり領土問題です。プーチン大統領は水曜日の発言で、ウクライナ東部などを念頭に次のように述べました。
- 「我々が武力によってこれらの地域を解放するか、あるいはウクライナ軍が撤退し戦闘をやめるか、そのどちらかだ」
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は同じく水曜日、自身のチームが米国での会談に向けた準備を進めていると説明し、トランプ氏側の代表との対話も続けると述べました。領土問題で妥協できる余地がほとんど見えないなか、外交交渉は続けざるをえない状況です。
和平協議の裏側で続く軍事攻撃
和平に向けた話し合いが進む一方で、戦場では攻撃の応酬が止んでいません。ウクライナ軍は木曜日遅く、ロシア南部スタブロポリ地方にある大型化学工場を攻撃したと発表しました。
- 標的となったのはネヴィノムイスキー・アゾト工場
- 爆薬の原料となる化学物質を生産し、ロシアでも最大級の施設だと説明
- 攻撃により火災が発生したと主張
ロシア当局からの即時の反応や被害状況についての情報は、現時点では伝えられていません。
同時に、ロシア側もウクライナのエネルギー・インフラへの攻撃を強めています。ウクライナの国営石油・ガス企業ナフトガスは木曜日、南部ヘルソンの熱電供給施設が「ほぼ完全に破壊された」と明らかにしました。
民間電力会社DTEKも、南部オデーサ州のエネルギー施設が一夜の攻撃を受け、約5万1800世帯が停電したと伝えています。冬場のエネルギーインフラへの打撃は、市民生活への影響が大きく、人道面での懸念も高まります。
「どんな平和を目指すのか」をどう考えるか
今回のウクライナ外相の発言は、単にウクライナとロシアのあいだの問題にとどまりません。「戦いを止めること」と「長期的に持続可能な平和」は必ずしも同じではない、という問いを投げかけています。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 歴史的に「不公平な和平」は、新たな紛争の火種になってきた
- 領土問題の線引きは、現在も和平交渉の最大の障害
- 外交と軍事行動が同時並行で進むことで、交渉に複雑な圧力が生まれている
国際ニュースとしてこの問題を追う私たちにとっても、「被害を減らすための現実的な妥協」と「将来の不安定さを残さないための原則」がどこで交わりうるのかを考えることが求められます。
ウクライナとロシア、そして米国や欧州各国が、今後どのような形で「真の平和」を模索していくのか。年末に向けても、慎重に見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
Ukraine says it wants 'real peace, not appeasement' with Russia
cgtn.com








