COPDと肺の健康:世界COPDデーと中国の早期検診強化
冬が本格化するこの時期、咳や息切れなどの症状を訴える人が増え、肺の健康への関心が高まっています。国際的な健康ニュースとして注目されているのが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の早期発見と管理をめぐる最新の動きです。
冬に高まる呼吸器リスクと肺の健康
冬はインフルエンザなどの呼吸器感染症が増えやすく、もともと肺に持病を抱える人にとって負担が大きくなる季節です。こうしたなか、COPDの早期発見と予防に光を当てる取り組みが進んでいます。
世界COPDデー:「自分の肺機能を知ろう」
COPDへの理解を深めるために設けられた世界COPDデーは、毎年11月20日に行われます。2025年11月20日の第23回世界COPDデーのテーマは「自分の肺機能を知ろう」で、肺活量などを測る肺機能検査(スパイロメトリー)が、COPD診断に不可欠だというメッセージが込められました。
スパイロメトリーは、息を大きく吸って一気に吐き出すことで、どれだけ空気を出し入れできるかを調べる検査です。痛みもほとんどなく短時間で終わるため、COPDの早期スクリーニングに適しています。
COPDとはどんな病気か
COPDは、主に喫煙などによって肺の気道や肺胞が傷み、息切れ、長引くせき、慢性的な痰などが続く病気です。進行すると階段の上り下りや少し歩いただけでも息苦しくなり、日常生活に大きな支障をきたします。
世界保健機関(WHO)の2021年のデータによると、COPDは世界の死因の第4位で、約350万人がこの病気で亡くなり、全死亡の約5%を占めました。高齢化と、たばこの煙や有害な粉じん・ガスへの継続的な曝露により、この数字は今後さらに増えると見込まれています。
主な危険因子としては、次のようなものが挙げられます。
- たばこの煙(喫煙だけでなく、受動喫煙も含む)
- 職場や家庭での有害な粉じんやガスの吸入
- 屋外・屋内の大気汚染
COPDは完全に治すことが難しい病気とされていますが、予防可能であり、治療によって進行を遅らせることができます。具体的には、禁煙、大気汚染を避けること、ワクチン接種に加え、薬物療法、酸素療法、呼吸リハビリテーションなどによって症状を和らげ、生活の質を保つことが目指されます。
中国で広がるCOPDと課題
中国では、COPDの患者数は約1億人に達し、死因の第3位に位置づけられています。それにもかかわらず、病気が見逃されているケースが多く、一般の認知度は10%未満とされています。実際にCOPDを持つ人のうち、自分がその病気だと認識しているのはわずか3%にとどまるとされ、早期発見をどう進めるかが今後の重要なテーマとされています。
早期発見に向けた新たな動き
Zhong Nanshan氏「肺機能検査を血圧測定のように」
2025年5月に開催された呼吸器の健康フォーラムで、中国の医学者Zhong Nanshan氏は、COPDの早期診断と介入のために、肺機能検査を血圧測定と同じくらい日常的な検査にする必要があると強調しました。症状が出る前から肺の状態を把握することで、病気の進行を抑えられる可能性が高まるからです。
国家レベルの対策:公衆衛生プログラムへの統合
こうした問題意識を踏まえ、中国のNational Health Commission of Chinaは、2025年9月にCOPD関連の健康サービスを自国の基礎的な公衆衛生プログラムに組み込んだとする通知を出しました。
この統合により、コミュニティヘルスセンターや郷鎮の診療所など一次医療機関で、肺機能スクリーニングと標準化された治療を提供できる体制づくりが進められています。その目的は、
- COPDの早期発見を促すこと
- 病気に対する社会全体の認知度を高めること
- 患者の生活の質(QOL)を向上させること
さらに、一次医療機関は35歳以上でCOPDと診断された人の健康記録を作成し、定期的な健康チェックとフォローアップを行います。肺機能の変化に応じて治療計画を見直すことで、よりきめ細かな病気の管理を行うねらいがあります。
私たちが意識したい「肺を守る」日常習慣
世界的な高齢化と環境要因の影響により、COPDは今後も重要な国際的健康課題であり続けるとみられます。中国で進む早期検診と地域医療の取り組みは、他地域にとっても参考になる点が多いと言えるでしょう。
一人ひとりが日常生活で意識できるポイントとして、例えば次のようなことが挙げられます。
- たばこを吸わないようにし、他人のたばこの煙もできるだけ避ける
- 大気汚染や粉じんの多い場所ではマスクなどで肺を守る工夫をする
- ワクチン接種について、かかりつけ医など医療従事者と相談する
- 咳や息切れが長く続くときは、早めに医療機関で相談し、必要に応じて肺機能検査を受ける
世界COPDデーのテーマである「自分の肺機能を知ろう」という呼びかけは、冬の健康管理を見直す良いきっかけにもなります。国や地域を超えて、肺の健康を守る取り組みをどう広げていくかが問われています。
Reference(s):
cgtn.com








