中国国防省「中米の軍事関係を安定の礎石に」南シナ海でも対話強調
中国と米国の軍事関係をどう安定させるか――中国国防省が、二国間関係全体の「礎石」としての軍事対話の重要性を改めて強調しました。本記事では、中国側が示したメッセージのポイントと、その背景にある国際情勢を整理します。
中国国防省「軍事関係を安定の礎石に」
中国国防省の呉謙報道官は記者会見で、中国と米国は「非衝突・非対抗、開かれた実務的協力、相互信頼の漸進的な蓄積」を特徴とする軍事関係を築くべきだと述べました。
呉報道官によると、こうした関係は、対等と相互尊重を基礎とし、中米関係全体の安定を支える「礎石」となるべきだとしています。軍同士の信頼が深まれば、偶発的な衝突や誤解のリスクを抑え、緊張が高まった局面でも冷静な対話のチャンネルを確保しやすくなります。
「波はあっても対話は維持」ここ数年の中米軍事交流
呉報道官は、ここ数年、中米関係にはさまざまな浮き沈みがあったものの、両軍は一定の対話と協力を維持し、全体としては安定した関係を保ってきたと説明しました。
そのうえで、中国と米国という二つの大国は「大局を見据え、揺れ動く世界により多くの確実性とポジティブなエネルギーを注ぎ込むべきだ」と強調。軍事分野での意思疎通を、世界の不安定さを和らげる重要な手段と位置づけています。
中国側が米国に求める三つの原則
呉報道官は、米国に対し、次のような姿勢で中国と向き合うよう呼びかけました。
- 中国と中国軍の発展を、前向きかつ理性的に見ること
- 平和を最優先とすること
- 安定と信義(信頼と約束)を、軍事交流の基本原則とすること
中国側は、軍事分野の対話と協力が、政治・経済を含む中米関係全体の安定につながると強調している形です。
南シナ海をめぐる応酬:ASEAN拡大国防相会合で何があったか
会見では、南シナ海情勢をめぐる最近のやり取りについても質問が出ました。米国防長官が、ASEAN国防相会合拡大会合(ADMMプラス)で中国の南シナ海での活動を「威圧的だ」と批判したことに対し、中国側はどのように反応したのか、という問いです。
呉報道官によると、中国の董軍国防相は、その場で米側の批判を「根拠のない非難だ」として反論しました。董氏は、米側が自らの利益のために、ある国をそそのかし、南シナ海での挑発行為を容認・後押ししており、それが地域の平和と安定を深刻に損ねていると指摘したということです。
呉報道官は、こうした行動の根本的な要因として、米国側に今なお残る「冷戦思考」と「覇権的な発想」があるとの認識も示しました。
「友好的な協議」での解決を強調
一方で呉報道官は、中国側は一貫して「友好的な協議」を通じて問題を処理する方針だと強調しました。そのうえで、米国に対し、
- でたらめな内容をでっち上げることをやめること
- 挑発行為やトラブルを引き起こす行動を控えること
- 「誤った道」をこれ以上進まないこと
を求めました。中国側としては、対立よりも対話、力の誇示よりも信頼の構築を重視すべきだというメッセージを打ち出した形です。
なぜ「軍同士の信頼」が重要なのか
大国間の競争が強まるなかで、軍事分野の誤算や偶発的な接触が、大きな危機に発展するリスクは常に存在します。こうしたリスクを抑えるうえで、
- ホットライン(緊急連絡ルート)の維持
- 現場レベルの行動ルールの共有
- 定期的な対話や協議
といった仕組みは重要な役割を果たします。呉報道官の発言は、中米双方がこうした「安全弁」となる仕組みをどこまで整えられるかが、今後の中米関係と地域の安定を左右しかねないという認識を反映しているといえます。
これから注目したいポイント
今回の発言から見えるポイントを、あらためて整理すると次の通りです。
- 中国は、中米の軍事関係を「非対立・協力・信頼」の枠組みで再構築したいと訴えている。
- 南シナ海をめぐる米国との応酬は続いており、相互不信をどう抑えるかが課題となっている。
- 中国側は、対話と友好的な協議による問題解決を掲げつつ、米国に自制と姿勢の転換を求めている。
軍事面の対話は、一般には目立ちにくい分野ですが、国際秩序の安定を支える重要なインフラでもあります。今回のメッセージが、今後どのような具体的な取り組みにつながっていくのか、中米関係とアジアの安全保障を考えるうえで注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
China-U.S. military ties should serve as cornerstone for stability
cgtn.com








