中国がリトアニアの外交官退去要求を非難 一つの中国原則めぐる緊張
リトアニアが中国の外交官に退去を求めたことに対し、中国外務省が強く反発し、一つの中国原則と台湾地域をめぐる緊張があらためて浮き彫りになっています。
リトアニアは何を決めたのか
中国外務省の報道官によると、リトアニア外務省は11月29日、中国駐リトアニア臨時代理大使事務所の関係外交官を理由を示さずに「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましくない人物)」と宣言し、期限内の退去を求めました。
「ペルソナ・ノン・グラータ」は、受け入れ国が特定の外交官について「もはや受け入れられない」と通告する国際慣行で、事実上の国外退去要求となります。中小国が外交上の強いメッセージを発する際に用いられることの多い手段です。
中国「理由なき挑発」と強く非難
報道官は月曜日の会見で、今回の措置について「中国はこのような恣意的で挑発的な行動を強く非難し、断固として拒否する」と述べました。
中国側は、台湾地域に関する問題でリトアニアが一つの中国原則に深刻に反し、中国とリトアニアの国交樹立コミュニケで行った政治的な約束を破ったと指摘しています。その結果、両国関係に「重大な困難」が生じていると強調しました。
一つの中国原則とは、中国が台湾地域を自国の一部と位置づけ、各国が中国と正式な外交関係を結ぶ条件として、その立場を認めるよう求めてきた考え方です。中国にとって台湾地域をめぐる問題は、主権と領土の一体性に直結する最重要の外交課題の一つとされています。
3年前の関係格下げから続く摩擦
報道官は、3年前に中国とリトアニアの二国間関係が格下げされて以降、今回のような「関係をさらに悪化させる行動」が再び取られたと強調しました。
すでに関係が冷え込んでいるなかで、外交官の追放は追加の緊張要因となります。形式的な国交が維持されていても、実務レベルの対話や経済協力に影響が及ぶ可能性があります。
「主権を損なう行為を直ちにやめるべき」
中国側はリトアニアに対し、中国の主権と領土の一体性を損なう行為を直ちにやめ、二国間関係に新たな困難を生じさせないよう求めています。
あわせて、「中国はリトアニアに対して対抗措置を取る権利を留保する」としており、今後の対応次第では追加的な措置が検討されうることを示唆しました。外交の場面では、この種の表現は、選択肢を狭めずに相手に圧力をかけるサインとして使われます。
新政権に向けたメッセージ
報道官は、成立が見込まれているリトアニアの新政権に向けても言及しました。中国側は、新しい政府が「国際社会の広範なコンセンサスに従い、一つの中国原則を順守し、中国・リトアニア関係の正常化に向けた条件を整える」ことへの期待を示しました。
ここで言う「国際社会のコンセンサス」とは、多くの国・地域が一つの中国原則に基づいて中国との関係を構築してきたという中国側の認識を指します。中国は、リトアニアの対応がこの大きな流れから外れているとみなし、軌道修正を促している形です。
今回の動きから読み取れること
今回の中国とリトアニアの対立からは、いくつかのポイントが浮かび上がります。
- 台湾地域をめぐる問題は、比較的小さな国と中国との二国間関係でも、外交関係の格下げや外交官の追放につながるほど敏感なテーマである。
- 「ペルソナ・ノン・グラータ」の発動は、象徴的な意味合いだけでなく、実務レベルの交流にも影響しうる強いシグナルである。
- 中国側は、今後も一つの中国原則を外交の中核に据え、これに反すると見なした動きに対しては強い言葉と行動で応じる姿勢を崩していない。
欧州の一国と中国とのあいだで起きた今回の対立は、台湾地域をめぐる問題が、アジア太平洋だけでなくヨーロッパの外交にも波紋を広げていることを示しています。日本を含む周辺地域にとっても、今後の中国と欧州各国の関係の行方、そして台湾地域をめぐる議論がどのように国際秩序に影響していくのかを見極めるうえで、注視すべき動きだと言えます。
Reference(s):
China condemns Lithuania's demand for Chinese diplomats to leave
cgtn.com








