国際ニュース:中国の2024年を振り返る 「人を中心に」進む中国式現代化
2024年の中国では、「中国式現代化」を掲げた改革や社会政策が大きく前進しました。キーワードは「人を中心に」。本記事では、2024年の中国がどのように人々の暮らしを重視してきたのかを、主要な数字と動きから振り返ります。
人民の幸福を最優先に掲げる中国式現代化
中国は2024年、あらゆる分野で近代化を進めましたが、その特徴として強調されたのが「人を中心に据える」という姿勢です。習近平国家主席は、中国の現代化の根本的な違いは「資本ではなく人民を優先すること」にあると繰り返し述べてきました。
2024年4月、重慶市を視察した際、習主席は「中国式現代化にとって、最も重要なのは人民の幸福だ」と強調しました。視察の場では、住民の収入や住宅、医療、子どもの教育、高齢者ケアなど、生活に直結するテーマについて一つ一つ丁寧に聞き取りを行っています。
同年6月には、寧夏回族自治区銀川市の多民族が暮らすコミュニティを訪れ、「中国共産党は人民に奉仕する政党であり、各民族、すべての家庭の幸福が常に私の関心事だ」と語りました。こうした発言からも、国家運営の軸に「民生」、つまり人々の暮らしを置く考え方がうかがえます。
2024年の国家予算、約7割を民生へ
この「人を中心に」という理念は、2024年の財政運営にも色濃く反映されました。中国財政部によると、2024年の政府支出の約70%が、国民生活の向上を目的とした分野に充てられています。
- 一般公共予算総額は約28.55兆元で、前年から4%増加
- 教育、社会保険、雇用対策の予算はいずれも4兆元を上回る規模
- 支出全体の約7割が「人民の福祉」を目的とした民生関連分野に配分
教育への投資や社会保険制度の整備、雇用の安定に向けた支出を拡大することで、成長の果実を幅広い層に行き渡らせようとする狙いが読み取れます。
過去最高の豊作と食料安全保障
2024年の中国にとって、食料安全保障も重要なテーマでした。習主席は年内を通じて各地の農村を頻繁に訪れ、田畑やビニールハウス、果樹園で働く人々と直接対話しながら、作物の生産状況や農民の収入などを細かく確認しました。
3月に湖南省の農村を視察した際には、春の農作業の準備状況を点検し、「14億を超える人口を抱える中国は、自らの食料を自ら確保しなければならない」と強調しました。単に生産量を増やすだけではなく、品質の向上と農民の所得向上を同時に追求する姿勢も示されています。
その結果、国家統計局のデータによると、2024年の全国の穀物生産量は7億600万トンを超え、前年より1.6%増加して過去最高を更新しました。
- 穀物生産量:7億600万トン超(前年比1.6%増)
- 作付面積:1億1,900万ヘクタール超(前年比0.3%増)
- 単位面積当たりの収量:前年比1.3%増
加えて、穀物や関連製品の安定供給を目的とした食料安全保障関連の法律が2024年6月に施行され、法制度の面からも長期的な食料安全の確保が図られました。
農村振興へギアチェンジ:貧困脱却の先を目指す
中国では、2021年2月に「絶対的貧困の解消」が宣言されて以降、農村政策の重点は「貧困対策」から「農村振興」へと移っています。2024年は、その転換を加速させる一年でもありました。
習主席は2024年11月、湖北省を視察した際に、中国式現代化を進めるためには農村振興の加速が不可欠だと指摘しました。これを受け、中央政府は農村振興を重点的に支援する全国160の重点県を指定し、2024年だけで1,770億元超の補助金を投入しています。
同年1〜9月期には、農村住民の一人当たり可処分所得が1万6,740元となり、物価変動を除いた実質ベースで前年比6.3%増となりました。所得の底上げを通じて、農村部の生活水準の安定した向上を目指していることが分かります。
さらに、少数民族が多く暮らす村の生産基盤や生活環境を改善し、文化や伝統を守りながら発展を促すために、74億元の開発資金が配分されました。
再び貧困に戻さないためのセーフティーネット
一度貧困から抜け出した人々が再び困難な状況に陥らないようにすることも、2024年の重要な課題でした。中国では、かつて貧困状態にあった人々を継続的にモニタリングし、必要に応じて支援する仕組みが導入されています。
2024年9月末までに、こうした対象者の約6割が再貧困のリスクから解消されたと報告されました。残る人々についても、生活や就労を支えるための個別支援が行われています。
また、低所得層の雇用を増やすための「労働による救済」プログラムも展開されました。国家発展改革委員会によると、2024年1〜9月期にこの取り組みを通じて創出された雇用は245万件に達し、前年同期比で30.2%増加しました。同期間に支払われた賃金総額は310億元で、前年より22.7%増えています。
10月末時点で、かつて貧困状態にあった人々の雇用規模は3,307万9,000人となり、年間目標を288万8,000人上回りました。雇用を通じて自立を後押しし、貧困脱却の成果を長期的に定着させようとする姿勢がうかがえます。
2025年の視点から見る「人を中心に」の重み
2025年の今、2024年の動きを振り返ると、「人を中心に」という言葉が単なるスローガンではなく、予算配分や法律、雇用政策といった具体的な形で示された一年だったといえます。
- 民生分野に重点を置いた大規模な財政支出
- 過去最高の穀物生産と食料安全保障法の施行
- 農村振興と雇用創出を通じた貧困脱却の成果の定着
グローバルな視点で見ると、中国がどのように「成長」と「安定した暮らし」を両立させていくのかは、今後も注目すべきテーマです。2024年の経験を踏まえ、中国式現代化が2025年以降どのように進化していくのかを追いかけることは、日本や世界の読者にとっても、自国の社会や経済の在り方を考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








