アリババとアップルがAI提携 中国向けiPhoneで何が変わる?
アリババが、中国本土の消費者向けに販売されるiPhone向けのAI機能でアップルと提携することを明らかにしました。中国スマホ市場で苦戦するアップルにとって、AI強化は巻き返しを狙う重要な一手となりそうです。
アリババとアップル、中国向けiPhoneでAI提携
アリババの董事長ジョー・ツァイ氏は、ドバイで最近開かれた世界政府サミットの場で、アップルとAI分野で提携すると発表しました。中国本土市場で販売されるiPhoneに、アリババのAI技術が搭載される見通しです。
ツァイ氏によると、アップルは中国の複数企業と協議したうえでアリババを選んだといいます。ツァイ氏は「最終的に当社と取引することを選んだ。彼らは当社のAIで自社のスマートフォンを動かそうとしている。アップルのような偉大な企業とビジネスができて光栄だ」という趣旨の発言を行い、強い期待感を示しました。
株価は香港で3年ぶり高値に
この発表を受け、香港市場に上場するアリババ株は急騰し、一時前日比9.2%高の124.3香港ドル(約15.96ドル)まで上昇しました。水準としては2022年1月以来、約3年ぶりの高値です。
アリババは2025年に入り、投資家から「AI関連銘柄」として改めて注目を集めてきました。年初からすでに株価は40%超上昇しており、今回のアップルとの提携確認が、その勢いをさらに後押しした形です。
背景にある中国スマホ市場の競争
アップルにとっても、このAI提携は中国本土のスマホ市場での巻き返しを狙う動きと重なります。2024年、同社の中国におけるiPhone出荷台数は前年から17%減少し、長年維持してきた同市場での首位の座を失いました。
調査会社カナリスのデータによると、2024年の中国本土スマホ市場でのシェアは、ビボが17%でトップ、ファーウェイが16%で続き、アップルは15%で3位に後退しました。国内メーカーが存在感を一段と高める中で、アップルの立ち位置は相対的に弱まっています。
業界アナリストは、中国本土市場で販売される最新世代スマートフォンでは、高度なAI機能が重要なセールスポイントになっていると指摘します。これまでiPhoneには、競合機種が前面に押し出すような先進的なオンデバイスAI機能が乏しかったことが、アップルの競争上の弱点になっていたとみられます。
アリババのAI戦略とQwen 2.5
一方のアリババは、クラウドと生成AIを中核に据えた成長戦略を進めています。2025年初頭には、自社の大規模AIモデル「Qwen 2.5」の新バージョンを発表しました。アリババによれば、このモデルの機能は、同じく話題となった「DeepSeek-V3」を上回るとされ、性能とコストの両面で注目を集めました。
こうしたAI技術の強化と投資家からの期待の高まりが続く中で、世界的なテクノロジー企業であるアップルがパートナーとしてアリババを選んだことは、アリババのAI戦略に対する一つの「お墨付き」と受け止められています。
利用者にとって何が変わるのか
今回の提携によるAI搭載iPhoneが具体的にどのような体験を提供するのか、詳細はまだ公表されていません。ただ、他のAI搭載スマートフォンの動向から考えると、より自然な対話ができる音声アシスタントや、写真・動画の自動編集、高度な翻訳や要約機能などが強化される可能性があります。
中国本土の利用者にとっては、現地の言語やサービスに最適化されたAI機能が、端末選びの大きな基準になりつつあります。アップルがアリババの技術を採用することで、ローカルなニーズに合ったAI体験を提供しやすくなり、ファーウェイなど国内メーカーとの機能面での差を縮める狙いがあると考えられます。
一方で、どのiPhoneモデルからアリババのAIが搭載されるのか、既存の端末にも機能が提供されるのか、またアップルが世界全体で展開するAI戦略との関係はどうなるのかといった点は、現時点では明らかになっていません。今後の正式発表が注目されます。
今後の注目ポイント
今回のアリババとアップルの提携は、中国本土のスマホ市場だけでなく、世界のAI競争にも影響を与える可能性があります。今後のポイントを簡潔に整理すると、次のようになります。
- アリババのAI機能を搭載したiPhoneが、いつ、どのモデルから中国本土市場に投入されるのか
- アップルの中国本土での販売シェアが、AI強化によってどこまで回復するのか
- アリババとアップルの協業が中国本土にとどまるのか、それとも他の地域やサービスにも広がるのか
中国本土の巨大なスマホ市場と急速に進化する生成AI。その二つが交わる今回の提携は、単なる「機能強化」にとどまらず、プラットフォームやエコシステムの主導権をめぐる動きの一環ともいえます。これから数年、私たちの手のひらの中の体験がどのように変わっていくのか、引き続き丁寧に追いかけていきたいテーマです。
Reference(s):
cgtn.com



