中国がフェンタニル対策白書を公表 厳格管理と国際協力の全体像
中国の国務院新聞弁公室は火曜日、フェンタニル関連物質の管理に関する白書「フェンタニル関連物質の管理――中国の貢献」を公表し、厳格な国内管理と国際協力の方針を詳しく示しました。
白書の概要:中国のフェンタニル関連物質対策とは
白書によると、中国は近年、フェンタニル関連物質の管理を重視してきたとしています。フェンタニル関連医薬品に対して厳格な監督を行い、乱用の防止と、密輸・製造・取引などの犯罪行為への取り締まりを強化してきたと説明しています。
白書は、こうした取り組みについて「顕著な成果」を上げていると強調しています。
国内管理で示された主な取り組み
白書が示した中国の主な対策は次のとおりです。
- フェンタニル関連医薬品を「麻薬類管理リスト」に列挙し、法的な管理対象を明確化
- 製造・販売・使用・輸出の各段階で厳格な管理を実施
- フェンタニル関連物質および前駆体化学品(原料となる化学物質)の密輸・違法製造・違法取引への取り締まりを強化
- 管理対象となる物質リストの拡大や、日常的な監督体制の強化
- 検査・押収措置の強化と、革新的な管理手法の導入
中国は、こうした統合的な措置により、フェンタニル関連物質の乱用防止と関連犯罪の抑止を最大限図る方針だとしています。
デジタル追跡で「全過程」を監視 RFID・IoT・AIを活用
白書は、中国がフェンタニル関連医薬品のデジタル追跡システムの構築を積極的に進めていることも明らかにしています。これは、製造から流通、使用、輸出入に至るまでの全過程を見える化し、管理を徹底するためのものです。
具体的には、次のような新技術の活用が挙げられています。
- RFID(電子タグ)による個々の製品やロットの識別
- IoT(モノのインターネット)によるリアルタイムの位置情報や状態の把握
- 人工知能(AI)を用いたデータ分析とリスク監視
こうした技術を組み合わせることで、フェンタニル関連医薬品の製造・販売・輸送・使用・輸出入に関する「全過程の動態監視」と「クローズドループ管理(循環的で抜け穴のない管理)」を実現し、紛失や意図しない流出を防ぐねらいがあるとしています。
国際協力を強調 「共同の責任」と「相互信頼」
白書は、中国が国際的な薬物対策において協力と対話を重視している点も繰り返し強調しています。対話、合同捜査、知識共有などを通じて、各国との連携を深めているとしています。
特に、米国を含む関係国との協力について、中国はフェンタニル関連物質やその前駆体の問題に関し「深いレベルでの協力において顕著な成果を収めている」と位置づけています。
「人類の共同体」としての薬物対策
白書は、中国が「人類が運命を共にする共同体」というビジョンに立ち、国際的な薬物対策に取り組んでいると説明します。国際条約などの薬物管理に関する義務を厳格に履行し、各国が責任を分かち合うべきだとする立場を示しています。
そのうえで、白書は次のような原則を掲げています。
- 各国が薬物対策の責任を共有する「共同の責任」の原則
- 包括的かつバランスの取れた薬物対策アプローチの追求
- 相互援助・共同の貢献・利益の共有を重視する姿勢
- 責任転嫁や一方的な非難の応酬に反対する立場
また、中国は既存の国際薬物管理体制をしっかりと維持し、その意思決定に積極的に参加するとともに、薬物のグローバルなガバナンスに対して「中国の知恵」と「中国の解決策」を提供するとしています。
読者が押さえておきたいポイント
今回の白書から読み取れる、中国のフェンタニル関連物質対策に関する主なポイントを整理すると次のとおりです。
- フェンタニル関連物質の国内管理を法制度と監督体制の両面から強化していると説明していること
- RFID・IoT・AIなどの新技術を用いたデジタル追跡システムで、供給チェーン全体の透明性向上をめざしていること
- 米国を含む関係国と協力し、対話や合同捜査、知識共有を通じて国際協力を進めていると強調していること
- 薬物対策を各国が責任を分かち合うべき共通課題と位置づけ、責任転嫁ではなく協力を重視する姿勢を示していること
- 国際的な薬物ガバナンスへの参加を通じて、中国独自の知見や解決策を提供するとしていること
フェンタニル関連物質をめぐる課題は、医療に必要な薬を適切に供給しながら、乱用や犯罪をいかに防ぐかというバランスの問題でもあります。今回の白書は、中国がそのバランスをどのような枠組みと考え方でとらえ、国際社会とどのように連携していくのかを示した文書として、今後の議論の土台の一つになっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com



