アフリカ再発見:上海ファッションウィーク2025が映す新しい協創のかたち
アフリカのファッションが、中国のファッションの都・上海であらためて「再発見」されています。2025年の上海ファッションウィークで、アフリカの気鋭デザイナーたちが一堂に会し、創造性とビジネスの両面で新しい一歩を踏み出しました。
アフリカのトップブランドが上海に集結
世界のクリエイティブ経済の中で存在感を高めるアフリカ。その最前線に立つ20以上の有力ファッションブランドが、今年、アジア有数のファッションプラットフォームである上海ファッションウィークに初めてまとまって参加しました。
Africa Reimagined Showroom と名付けられたこの取り組みでは、ランウェイショーに加え、限定ショールームも展開。現代アフリカを象徴する鮮やかな色彩、緻密なクラフトマンシップ、そして実用性を兼ね備えたデザインが、中国をはじめとするアジアの来場者に紹介されました。
「ソーシングの地」から「発信の舞台」へ
モザンビークのデザイナー、タイボ・バカーは、14年前に素材調達のため初めて中国を訪れた経験を振り返りながら、今回の上海でのショーに特別な意味を見いだしています。
当時は「自国では手に入らない生地や素材を探しに来ていた」と語るバカーさん。しかし今は、「素材を探すだけでなく、自分たちのコレクションそのものを中国市場に届けるために来ている」と話し、この14年でアフリカのファッション産業が大きく前進したことを強調します。
- 以前: 中国は主に生地やパーツを調達する「ソーシング」の場
- 現在: 完成したブランドを発信し、中国の消費者と直接つながる「ショーケース」の舞台
タンザニア出身のデザイナー、アニッサ・ンプングウェもまた、「自分の創造性に限界がないと感じられる空間にいるのは初めて」と語り、今回の参加を「クリエイティブ面でのレベルアップ」と表現しました。
デザインで語るアイデンティティ
ランウェイでは、若い世代の感性、歴史へのまなざし、大胆な自己表現が交差するストーリーが織り込まれています。ンプングウェさんは、アフリカのデザインを「ためらいのない表現」と捉え、若者文化と伝統が混ざり合うエネルギーを強調します。
一方でバカーさんは、アフリカのファッションは単一のスタイルではなく、「グローバルな影響を取り入れたテーラードなシルエットやタイムレスなエレガンスが、アイデンティティに根ざして共存している」と話します。
彼女は「ファッションは世界共通語」と語り、刺繍や物語性のあるディテールを通じてアフリカとのつながりを表現しつつも、「地理を超えて世界中の女性たちをエンパワーする」デザインを目指しているといいます。
文化外交とビジネスをつなぐファッション
今回の取り組みを企画する Development Reimagined の CEO、ハンナ・ライダーにとって、ファッションは単なる衣服ではありません。経済発展、文化外交、そして「アフリカ」というブランドを世界にどう伝えるかを考える入口でもあります。
ライダーさんは「ファッションは原材料を高付加価値の製品へと転換する産業」であり、アフリカが創造性のハブであるだけでなく、「世界の次の製造拠点」となりうる可能性を示すと指摘します。
上海ファッションウィークを舞台に選んだ背景には、その国際的な知名度に加え、中国の消費者の購買力とアフリカへの好奇心の高まりがあります。アフリカのブランドにとって、中国市場は新たな顧客層と出会う場であり、同時に対等なビジネスパートナーを見つける機会でもあります。
広がるコラボレーションとこれから
デザイナーたちは、中国を単なる販売先としてだけでなく、共創のパートナーとしても見ています。現時点で中国のデザイナーとの具体的なコラボレーションは始まっていないものの、アイデアや製造技術を共有し合う可能性には前向きです。
会期中には、Development Reimagined が中国のECプラットフォームやメーカーへの視察も計画。オンライン販売から共同投資まで、長期的な協力につながる下地づくりが進められています。
アフリカ×アジアのファッションが開く未来
Africa Reimagined は、今回限りのショーではなく、アフリカとアジアのファッションエコシステムを継続的につなぐルートをつくることを目指しています。そこには、投資、貿易、文化交流を同時に拡大していく狙いがあります。
ライダーさんは、「アフリカの繊維・ファッション製品の対中輸出を、今後2倍、3倍、さらには4倍へと伸ばしていきたい」と語り、「そのチャンスは現実的であり、まさに今がそのタイミングだ」と強調しました。
今回の上海ファッションウィークで見えたのは、アフリカのブランドが世界市場で「受け身」ではなく、自ら条件を提示し、物語を発信する主体へと変わりつつある姿です。日本を含むアジアの消費者にとっても、アフリカ発のデザインやブランドとの出会いは、ファッションの楽しみ方や価値観を静かにアップデートしていくきっかけになるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








