中国とインドネシアが安全保障協力を強化 初の外務・国防閣僚対話の狙い
中国とインドネシアが初の外務・国防閣僚級対話を開き、戦略的な信頼関係と安全保障協力を一段と高いレベルへ引き上げる方針を確認しました。2025年の不透明な国際情勢の中で、この動きは地域の安全保障と経済秩序にどんな意味を持つのでしょうか。
初の外務・国防閣僚対話で何が話し合われたか
中国の王毅外相と董軍国防相は、インドネシアのスギヨノ外相とシャフリ・シャムスディン国防相とともに、中国・インドネシア外務・国防閣僚対話の初会合を共同議長として主宰しました。
この対話は、外交(外務)と防衛(国防)を同じテーブルで扱う新たな枠組みであり、両国は次のような点で協力を深めていくことで一致しました。
- 戦略的互信(おたがいの安全保障や外交方針に対する信頼)の一層の強化
- 首脳や閣僚レベルを含む緊密な高位級往来の維持
- 防衛・安全保障分野での協力の拡大
- 法執行や治安分野での協力の強化
- 一帯一路の「質の高い協力」の推進
- 資源と生産能力の補完関係を活かした産業協力
- 国境をまたぐ産業・サプライチェーンの安全かつ安定した構築
王毅外相は、この新しい対話メカニズムが両国の高い戦略的互信を示すものであり、「中国・インドネシア共同の未来社会」(中国・インドネシアの運命共同体)という構想の中身を豊かにするものだと位置づけました。
キーワードは「戦略的自立」と「中核的利益の相互支持」
今回の会合で王毅外相が強調したのが、「戦略的自立」と「お互いの核心的利益を支持し合う」姿勢です。
王毅外相は、両国が次のような方向性を堅持すべきだと呼びかけました。
- 戦略的自立を重んじ、自らの判断で外交方針を決めること
- 互いの中核的利益を尊重し、支持し合うこと
- 高位級の対話と交流を続け、政治対話の「太いパイプ」を維持すること
- 外交、安全保障、経済など幅広い分野での対話を拡大すること
- 法執行と安全保障協力を強化し、より強固な戦略的互信を築くこと
こうしたメッセージからは、中国とインドネシアが単に経済面だけでなく、互いの安全保障上の懸念や立場を尊重し合う「パートナーシップ」を意識していることが読み取れます。
経済協力も安全保障の一部に:一帯一路とサプライチェーン
今回の協議では、安全保障と経済協力を切り離さず、一体として捉える姿勢も鮮明になりました。両国は次のような方向で一致しています。
- 一帯一路の高品質な協力をさらに前進させる
- 新しい分野で協力の「ベンチマーク(見本)」となるプロジェクトを増やす
- 資源と生産能力で互いの強みを活かし合う
- 安全で安定した国境を越える産業・サプライチェーンを構築する
サプライチェーン(供給網)の安定は、2025年の世界経済にとって最大の関心事の一つです。中国とインドネシアがこの分野で協力を進めることは、エネルギーや資源、製造業などでの連携を通じて、地域全体の経済安全保障にも影響を及ぼす可能性があります。
国連・BRICS・G20で「3つの力」をめざす
王毅外相は、国連、BRICS、G20といった多国間の場でも中国とインドネシアが協調していく姿勢を示しました。そのうえで、両国が目指す役割として、次の「3つの力」を挙げています。
- 世界の平和と安定を維持する「公正な力」
- 国際的な公平と正義を守る「進歩的な力」
- グローバルな開発と協力を促す「建設的な力」
軍事や安全保障だけでなく、多国間協力の舞台でも両国が存在感を高めていこうという意識がうかがえます。とくに、世界経済や開発、南北問題などの議論で、中国とインドネシアがどのような共同メッセージを発信していくのかが今後の注目点です。
董軍国防相が示した方向性:新たな防衛協力の枠組みへ
董軍国防相は、現在の国際情勢を踏まえ、中国とインドネシアが防衛・安全保障協力を深めることは、「中国・インドネシア共同の未来社会」を地域的にも世界的にも影響力のあるものへと発展させるうえで重要だと強調しました。
そのうえで、中国側として次のような方針を示しました。
- より深い戦略的互信にもとづく、新しい防衛・安全保障協力の枠組みをともに築く
- 協力メカニズムをよりよく連携・調整されたものへと発展させる
- 複数の分野で、より実務的で深い協力を展開していく
- 二国間関係全体を新たな、より高いレベルへ引き上げる
ここからは、防衛対話や共同訓練、能力構築支援など、より具体的な安全保障協力が今後の検討テーマとなることがうかがえます。それがどのような形で進むのかは、今後の発表を見守る必要があります。
地域秩序の中でこの動きをどう見るか
中国とインドネシアは、ともに人口が多く、経済規模でも存在感が大きい国です。両国が戦略的互信を強調しつつ、防衛と経済を結びつけた協力を深めることは、アジアの安全保障と経済秩序に少なからず影響を与えます。
今回の外務・国防閣僚対話は、次のような点で注目する価値があります。
- 外交と防衛を一体的に扱う新たな枠組みが立ち上がったこと
- 安全保障協力と一帯一路・サプライチェーン強化がセットで語られていること
- 二国間関係にとどまらず、国連やBRICS、G20など多国間の場での連携強化が明確に打ち出されたこと
日本を含む地域の国々にとっても、近隣諸国同士の安全保障と経済協力の動きを丁寧に追うことは、これからの外交や経済戦略を考えるうえで欠かせません。中国とインドネシアが掲げる「より高いレベルの戦略的互信」が、今後どのような具体的協力として形になるのか。そのプロセスが、2025年以降のアジアの姿を占う一つのヒントになりそうです。
Reference(s):
China, Indonesia vow higher-level ties, deepened security cooperation
cgtn.com








